栄養不足がプチ不調や無月経、月経不順に直結
一方、睡眠不足も深刻だ。20代~30代の働く女性の睡眠時間は、5~6時間の人が多く睡眠満足度も低かった。睡眠の満足度が低い人の多くは、健康上の悩みとして「精神的なアップダウン」を挙げていたという。
東京・まるのうち保健室での調査では、20代~30代だというのに3割もの人が、寝たきり予備軍のロコモティブシンドローム(運動器症候群)になっていた。ロコモティブシンドロームとは、歩行や運動する機能が衰え、将来的に要介護になるリスクが高い状態だ。
1日の大半は座っていて活動量が最低の「活動量レベル1」の人は、大阪では39.6%、東京では59.5%にも上っていた。
このように、栄養不足、睡眠不足、運動不足の3重苦に陥った働く女性に共通するのは、「プチ不調」を抱えていること。プチ不調を多い順に並べると、1位・肩凝り、2位・冷え症、3位・むくみ、4位・疲れが取れない、5位・肌荒れ、6位・腰痛/精神的アップダウン/便秘、9位・頭痛、10位・風邪を引きやすい――となった。
「一人の女性がいろいろな症状に悩まされています。また、エネルギーや必要な栄養素の不足で痩せると、無月経になることがあります。なんと、働く女性の5人に1人が、過去に3カ月間生理が止まったことがある無月経を経験しているのです。無月経を経験している女性は卵巣機能が低下し、赤ちゃんができにくい状態になっている可能性もあります。
また、『月経痛がある』と答えている女性は7割にも達します。出産未経験の女性は子宮頸管が硬く、内腔が狭いために凝血が通過する際に腹痛などの痛みを感じやすいことが分かっていますが、骨盤内の血液のうっ血を改善するのに入浴が有効であり、月経痛のひどい人とほぼない人では、入浴習慣に大きな違いがありました。BMIが低いほど血液循環を悪くさせる冷えの度合いが高まるという報告もあるため(※1)、不健康な痩せはQOLを低下させてしまいます」と細川さん。
こうしたプチ不調は、仕事のパフォーマンスにも影響があると多くの女性が実感しており、仕事面からも、今すぐ生活を見直す必要がありそうだ。具体的な対処法は、次回記事で詳しく解説する。
文/福島安紀
予防医療コンサルタント
東京とNY在住の医師・栄養士・料理研究家による予防医療プロジェクト「Luvtelli Tokyo&NewYork」代表理事。米国で最新の栄養学を学び、International Nutrition Supplement Adviserの資格を取得。2014年、三菱地所と共同で東京・丸の内に「まるのうち保健室」を立ち上げ、名古屋、大阪、札幌、京都でも働く女性のための保健室を展開。働く女性に対する健康相談・啓発、実態調査を行っている。
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