その背景にある「やまとなでしこの呪縛」!?

 では一体なぜ、多くの女性たちがそこまで管理職になるのを嫌がるのでしょう。まだ少ないから注目を浴びやすいとか、叩かれやすいとかという事情はもちろんありますが、もう一つ根本的な理由があるように感じます。

 先日、詩人の水無田気流さんのコラム「望ましさの分裂」を読んで、なるほどと思いました。普段は平等志向の女性でも、プロポーズや家計責任においては男性にリードされたい人が多数派であるとのこと。なんだか…問題の共通点が見えませんか?

 自分が教育した新卒男子がいつの間にか上司になっている…こういった不平等には不満はあるものの、彼らと同様の責任を任されると「私には荷が重い」と思ってしまう。この背景には「やまとなでしこ」という言葉に代表される日本女性に対する理想が、まだ私たちの内側に脈々と流れているからだと思うのです。

呪縛を解くための一歩を踏み出そう

 ではこの呪縛を少しずつでも解くために、具体的に何ができるでしょう?

【1】当番のような感覚で

 職場の飲み会の幹事は持ち回りだったりしませんか。昇進は「特別なこと」だと思うと身構えるので「いつか順番が来るもの」くらいの感覚でいたらどうでしょう。そうすることで自分の順番が来たときのために、事前に周囲を観察できますね。先輩の仕事ぶりに注目をして、準備体操をしておきましょう。

【2】日ごろから上司に期待しすぎない

 「上司はこうあるべきだ」と理想を高く持っていると、昇進を考えたときにその理想がとても高い壁として立ちはだかります。でもね、上司だって発展途上なのです。特になりたての場合はうまくできなくて当たり前。日ごろから少し上司への目を優しくしてみませんか。そうすることで少しずつ管理職へのハードルが低くなるはずです。

 このコラムをご縁に、高橋新監督の活躍を応援したいと思います。巨人軍の監督ですから、他の球団よりずっと目立ちますし、叩かれやすいという点では女性リーダーと共通するところでしょう。こんな風に考えると、ますます応援したくなってきました(笑)! 高橋新監督とともに、読者の皆さんも一歩を踏み出してみませんか。

この人に聞きました
錦戸かおり
がんばれ工房主宰/キャリアカウンセラー
錦戸かおりさん
中央大学卒業後、コニカ株式会社(現コニカミノルタ株式会社)にて、4年間秘書業務に従事したのち、もっと「人の価値観」に関わる仕事がしたいという想いから、1990年よりパソナの関連会社に転職。4年余り正社員の転職を支援するコンサルタントとして働き、その後、上司とともに独立。企業が中途採用を行う際のコンサルティングを行った。2003年6月の独立を機に、企業への採用支援を辞め、個人へのキャリア・カウンセリングを中心としたキャリア開発支援を行っている。現在は、個人から直接依頼を受けて行うキャリア・カウンセリングを中心に、大学でのキャリア・カウンセリング、キャリアに関するセミナーや講演、企業内でのキャリア面談などを行っている。
公式サイト:http://gambarekoubou.com/