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ハーバード生のジェンダーギャップ 父と母のバランス

2016年5月10日

医師としての名声を諦めてゼロからキャリアを築いた母の姿を見て

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 「母は中国で小児科の感染症の医者として活躍しているところだったけど、父、そして家族のためにいったん仕事を諦めたの」

 レイチェル(30)は9歳のとき、家族と共に中国の山東省からアメリカへと渡った。父親のキャリアや長期的収入のことを考え、アメリカへの移住を決断したという。

医師の母が再就職したのはファストフードの店員

 「中国にいるころは、母のほうが経済的に家庭を支えて仕事に没頭していたという印象が強い。でも母は家族が一緒にいることが重要だと判断して、中国での華々しいキャリアを捨てて、父と一緒にアメリカに移った

1990年 レイチェルと母

 レイチェルのお母さんは、アメリカ移住直後はビザの関係で仕事ができなかったという。そして1年後、就労ビザが下りたものの、英語が話せなかったため就職に苦労。かつて名声を博した医師だった母がたどり着いた仕事は、中華料理のファストフード・チェーンの店員だった

 「母が一生懸命、英語のメニューを暗記している様子は今でも忘れられない。プライドはボロボロだったと思うけど、毎日お店の制服を綺麗に着て仕事に出かけて行ったわ」

 20年後の今、レイチェルのお母さんは、名門エール大学で免疫学の研究者として働いている。

仕事は経済力を得るためだけでなく、人としての生きがいに

 「私は母の仕事に対する努力と熱意を近くで見ていた。もちろん、仕事が経済的に重要なのは確か。でも、仕事をするということは、家族の中での役割やアイデンティティを超えた、一人の人間としての生きがいだということを母から学んだ」と彼女は言う。

 中国では父が母のキャリアを優先し、アメリカに来ることで、母が父のキャリアを優先したと言う。

 「夫婦、家族間の男女平等といっても、毎日常に平等でいるのは難しい。家庭も仕事も一気にすべてを手に入れるのは体力的にも無理。長期的に考えて、家族を優先する期間と自分のやりたいことを優先する期間のバランスが、夫婦でとれるのが重要だと思う

 移民大国のアメリカは、多様な文化と価値観が混ざりながらも、「アメリカ人」としてのアイデンティティを構築してきている。しかし、女性の働き方や生き方など、出身国の価値観と育ったアメリカ社会の価値観が一致しないことも珍しくない。

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大倉瑶子
大倉瑶子
テレビ局で報道記者・ディレクターとして4年働く。東日本大震災の取材やフィリピンでの台風被災地のボランティアを通して、災害復旧に興味を持ち、退職を決断。フルブライト奨学生として、ハーバード・ケネディ・スクールで学んでいる。
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