「瞬時の対応」は失敗を招くことが多い

 例えば、あなたの職場でトラブルが発生したとしましょう。

 あなたがここ数週間頑張って仕上げた資料にミスが見つかった。取引先に迷惑が掛かった、とクレームの連絡が来たとします。あなたの部署は大騒ぎです。どうしよう、どうしよう……あなたの心臓はバクバクしています。このとき、取るべき行動はなんでしょうか。

行動案1 とにかくすぐに動く!

 ビジネスの現場などではよく、「ミスをしたときこそ瞬時の対応がものを言う」などといわれますね。迷っている暇はない、とにかくすぐに取引先に連絡を、と焦る気持ちはよく分かります。

 でも、考えてみてください。トラブルが発生してまだ数分もたっていないときのあなたは、まさに赤コンピューター状態にあります。電話の相手の対応によっては「どうせ私が悪いんです、もういい、私を外してください」などと売り言葉に買い言葉、言うつもりもなかった言葉を発してしまうかもしれません。

 赤コンピューターの状態のときによく考えずに瞬発力で行動すると、実世界を動かしてしまう。それはできるだけ避けたほうが得策なのです。

行動案2 考えに考えれば、解決するに違いない

 これも、優秀な人ほど、はまりやすいトラップです。どうすればいいか考えてみよう、と頭の中でうんうんと思考を巡らせようとする。

 しかし、赤コンピューターのときには、考え方がかなり偏っています。正義を振りかざす長女キャラの声がどんどん強くなり、「やっぱり自分が悪かったんだ。こんなミスを犯してしまって、異動か、最悪、クビになるかも。いや、クビになるに違いない」と最悪のことを考えるようになったり、「チェックしてくれたはずなのに、どうして見落としたの?」と上司に強い怒りが込み上げてくるかもしれません。こちらも、事態の収拾、という面ではよい結果にはつながりにくいでしょう。

行動案3 トイレに立って、呼吸を数える

 実は、とても有効なのが、「呼吸」です。「そんなのんきなことできない」「トラブルが起こったときにトイレに立つなんて、逃げてると思われる」と思いますか?

 でも、トイレに立つぐらいならできるものです。そのくらい、トラブルの渦中にあるときには、「その場から離れる」ことが大切です。