今回、実施した読者アンケートで「恋愛は不器用、どちらかというと不器用」と答えた人は全体の8割以上も。自由回答を詳しく見て分かったのが、「自分が高スペックであるが故に恋愛がうまくいかないという経験をした」人が多いという事実です。そこで、アラサーの働く女性を「ドラえもん」の女性キャラに例えて解説した大人気コラム「もしもドラえもんの女性キャラが現代のキャリアウーマンだったら」著者の稲田豊史さんに、このアンケート結果を分析してもらいました。

第1回 働く女性の恋愛事情、相手選びで譲れない条件とは
第2回 高スペック女子は、恋人にも結婚相手にも○○を求める

※アンケート上で聞いた「自分が高スペックであると感じる」理由の上位4項目は以下となります(カッコ内は選択率)。
(1)学歴が高い(31.2%)、(2)キャリアへの意識が高い(26.8%)、(3)仕事ができる(23.4%)、(4)収入が高い(22.1%)
※アンケートのコメントは、適宜編集・抜粋しています。

 「高スペック女子」を「ドラえもん」の登場人物に例えるなら、ずばりドラミちゃんです。ドラミは賢くてお行儀のいい優等生ですが、愛され系のしずかほど男子のアイドルでもなければ、マンガ家志望のジャイ子ほど一芸に秀でているわけでもありません。

 総じて高学歴の「ドラミ系女子」が実社会に出て生きづらいという話は以前の記事「ドラミと「逃げ恥」みくりの共通点 優等生が抱える闇」で、主に仕事面に着目して分析しました。能力が高いばかりに職場のオジサンから煙たがられてしまったり、仕事ができるのに自尊心が不足気味で自己評価が下がりがちだったり……。今回はそんなドラミ系女子をさらに掘り下げ、彼女たちがどうして恋愛に不器用なのかを、読者アンケートの結果から探っていきましょう。

男はなぜ女の高スペックに「引く」のか?

 ドラミ系女子が恋愛で遭遇する難局の第1位は、「相手に収入・学歴・会社名を伝えると引かれる、卑屈な態度を取られる」といったものでした。

以前お付き合いしていた方は収入に対してプライドがあり、実際の(自分の)収入を言えずギクシャクした。(38歳、製造、営業、独身・未婚)

仕事の話になると引かれる。意外に稼いでいるなとよく言われる。(32歳、製造、品質管理、独身・離婚経験あり)
*同様意見多数

 悲しいことに、多くの日本人男性――特に30代後半以上――は、表向き男女平等主義を装っていても、心のどこかで「そうは言っても、やはり男性のほうが収入が上でないと格好がつかない」と思っているフシがあります。親世代の影響で「一家の大黒柱は男」といった昭和的な家庭像が染みついていることに加え、仕事以外で女性と対等以上に張り合えるものがない、という自信のなさの表れでもあるでしょう。

友達以上の男性に会うたび「君の学歴は……」「君の勤務先は……」「それに引き換え自分は……」と言われ続け、そのたびに否定することに疲れてしまい、連絡を取るのをやめた。(37歳、製造、設計技術、独身・未婚)

 極論すれば、男性は「すごいね」と言われるために生きている生き物なので、自分よりスペックが「すごい」存在と常に比較される環境に身を置くことを、本能的に嫌う傾向があるのかもしれません。

学歴が高過ぎると交際を断られたことがある。(38歳、金融、一般事務、独身・未婚)

合コンで学歴の話になると引かれた。(33歳、学術研究・技術サービス、企画、既婚・子どもなし)

「なんか、とっても、話しづら~い」 (C) PIXTA
「なんか、とっても、話しづら~い」 (C) PIXTA

「ワセジョ(早稲田大学在学中、もしくは卒業生の女性)は大学時代に結婚相手を見つけておかないと大変だろう」と言われたことがある。(26歳、広告代理店、専門職、独身・未婚)

 ちなみにアンケート回答者に「ワセジョ」の方は結構いました。「ワセジョ」についての解説は(多方面に角が立つので)割愛しますが、皆様が今までに被った度重なる偏見と逆風は、謹んでお察しいたします。