夢=声優と結婚!?
金曜日の夜、私は勉強会で話をすることになった。
一応、スライドを用意した。
「オダマモ様 つ い に 降 臨」
写真を入れながらニタニタしてしまう。
ふははは。思いっきり自分の趣味まるだしだ。
勉強会には、200人近くの人が来ていた。
うちの会社の人は、こんなに勉強熱心だったのか? 金曜日だぞ。
異動する前の部署の上司も来ていた。なんだか胸が熱くなった。
「こんなふうに、ムダにテンションが高くてやたらと長い企画書を送ったんです。ダメもとでしたけど……。あ、メール送信が深夜になってますね」
会場には笑いが広がった。
仕事って、こんなに面白かったんだなぁ。会社って、そんなに悪いところではないのかもしれない。
そんなことを思いながら発表を続けた。
「そんなわけで、今回のスクープをものにできたわけですが、これに満足せず、ねちねちマニアックな記事をアップしていきたいと思っています」
私はひと呼吸おいてから、最後のスライドを出した。
「ヤグチの夢 = あこがれの声優と結婚する」
集まった200人近くの社員はみなシーンとしている。
ドン引きしているのかも? でも私はいっこうにかまわなかった。
夢は荒唐無稽なほうがいい。そしてこれが、私なりの荒唐無稽な夢だ。
「では、最後に質問を受け付けます!」
「ヤグチさんが結婚したいのは、やっぱり例のオダマモさんなんですか?」
ドン引きどころか、夢を真正面から受けてのマジレスの質問だった。
「いえ、それは内緒です」
私が笑うと、会場から自然と大きな拍手が起きた。
*続きはこちら→第十一回 会社に居場所ができた矢先に、批判・クレーム…なぜ?
文・イラスト/吉永龍樹
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