働き方改革のコンサルティングを行っている池田千恵さんが、明日からすぐに実践できる仕事術・時間術・コミュニケーション術などを紹介していく本連載「じぶん働き方改革」。今回は、ほとんどの人が持っている「バカだと思われたくない」という気持ちを克服する方法を教えます。

小さい頃に言われた言葉にとらわれていませんか?

素のコミュニケーションが働き方改革のカギです (C)PIXTA
素のコミュニケーションが働き方改革のカギです (C)PIXTA

 誰にでも一つや二つ、グサリと傷ついた言葉を胸の奥底に眠らせているものです。相手はそんなつもりは全くなく、言ったことすら覚えていないような言葉のせいで行動に制限がかかったり、「どうせ私は」「いつも私はこうだ」とくすぶり続けたりする場合もあるでしょう。

 一見「働き方改革」とつながりがないように思える「過去に傷ついた言葉」ですが、私は自分の行動を限定してしまうという意味で大いに関係していると考えています。

 以前、企業の働き方改革の研修に講師として関わった時、こんなことがありました。改善意見やどうすればよいのかを誰よりもよく分かっているのに発言や改善をしようとしない人がいたのです。勤務態度は真面目で丁寧。会社の未来もきちんと考えており、別に投げやりな仕事をしているわけではありません。責任感があり目の前のことに誠実に取り組むタイプなのに、このような態度になってしまうのはなぜだろう、と思い、詳しく理由を聞いてみました。

 彼女は小さい頃、自分がしたいことをなかなかさせてもらえないことが多かったそうです。そのせいか、主張して何かをつかみ取りたいと思っても「どうせうまくいかない」と行動に移すことを諦めてしまうクセが付いてしまったとのこと。仕事でもそのクセが抜けず、主体性を持って改善しようと頭では思っていても「どうせ反対される」と自分をセーブしてしまうようになりました。

 「どうせ」「いつも」と自らジャッジするクセを付けてしまうと、思考の幅が制限されます。自分に対してだけでなく、いつまでも変わらない会社や上司に対しても「どうせ」「いつも」と諦めるようになり、新しい発想で仕事を捉え直すことが難しくなってしまうのです。

 私たちが目指していくべきは「じぶん働き方『改善』」ではなく「じぶん働き方『改革』」です。改善なら今までの延長線上で考えてもいいかもしれませんが、改革をするからには、今までの考えからは全く違った視点で問題を眺め、飛躍した切り口から考える必要があります。そのためにも、自らをジャッジして制限してしまうような「言葉の呪い」から逃れる必要があるのです。