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「元カレ」は女子のカンフル剤となりうるか?

2017年5月17日

日々を幸せに過ごせる、壁打ちとしての「元カレ」の意義

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離婚が決まったとき、元カレに電話しちゃって

 とある30代のバツイチ女性が、飲み会の席でほんのりと酔った頃に、話してくれたことがありました。

「私、散々な目にあって離婚したとき、こんな子持ちのオバサン、もう誰も抱いてくれないだろうなって思ったんですよね。需要なんてないって。とにかく誰かに会って話をしたくて地元の元カレに電話したら、予想外にトントン拍子でその日にホテル行っちゃって。あ、こんな私でも抱いてくれる人がいるんだ、ってすごく自信が出て、以来割と肉食なんですよ」

 「……えっ、あっ、そうなんですか、よかったですね(?)」と、その時は思いもかけない告白にドギマギして適当な言葉でごまかしてしまいましたが、後にしばし考え込んでしまいました。

 「離婚したとき、元カレに電話した」。そういうものなのか……。

「離婚したとき、元カレに電話しました」 (C)PIXTA

「元カレにバッタリ」を妄想して女度を上げようという不思議

 光文社の女性誌「STORY」5月号の特集に、「元カレと会う日のコーデ」という企画がありました。

 タイトルもサブタイトルにも本文にも、独特の価値観が表れています。

・いい女の新基準「その服で、元カレと会える?」

・バッタリ会っても、慌てずにすむように“清潔感と幸せ感のあるオシャレ”を磨いておこう

・『余裕ある生活』『感度の高さ』『たゆまぬ女磨き』を見て欲しいから

・『惜しかった…』と元カレが悔やむかも

・セカンドシングル(バツイチ)の立場から考えました「元カレと会う日の黒コーデ」

・『体型カバー服』に甘えた私は見せない!
(「STORY」5月号(光文社)より)

 大特集のサブタイトルでは「バッタリ会っても、慌てずにすむように」と置き、基本的に今は幸せな既婚者(人妻)として、元カレに「たまたま」会ってしまっても恥ずかしくないオシャレを磨こう! としています。決して元カレとの不倫を奨励したり匂わせたりするのでなく、公序良俗を刺激しないコンサバならではの基本路線を押さえるのはさすがです。

 つまりここにおける元カレとは、今や人妻となってつい緊張感を失い、だらしなくなってオンナ度を下げてしまいがちな自分たちを戒める「(夫以外の)男の視線」なわけです。かつて付き合い、女として抱かれた(←オトナですから)元カレという基準値に、今のあなたはちゃんと見合っているかしら? と。夫はもうお互い見慣れているから、除外なんですね(笑)。

 さらに突っ込んで言うなら、実のところ元カレだろうがなんだろうが「気になるあの男(ひと)とバッタリ会っちゃっても、『いい女だな』と思ってもらえるくらい市場価値を維持しなきゃ!」というメッセージなのですよね。モデルの稲澤朋子さんなんて、肩出しのオフショルダー着て「ヘルシーな色気」を演出してますよ。

 つまりこれは少女漫画的な甘酸っぱい過去の恋の記憶がどーたらではなく、「女としての市場価値の維持」の話なのです。

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河崎 環
河崎 環(かわさき・たまき)
コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川県育ち。家族の転勤により桜蔭学園中高から大阪府立高へ転校。慶應義塾大学総合政策学部卒。欧州2カ国(スイス、英国ロンドン)での生活を経て帰国後、Webメディア、新聞雑誌、企業オウンドメディア、テレビ・ラジオなどで執筆・出演多数。多岐にわたる分野での記事・コラム執筆を続けている。子どもは20歳の長女、11歳の長男の2人。著書に「女子の生き様は顔に出る」(プレジデント社)
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