「正しく逃げる」ことを認めようよ
つまりタスク過多で汗をかいて四苦八苦している感じが正義であり、苦労に耐え忍ぶ姿が褒められる日本社会は、もともと苦労と過重労働礼賛型の文化なのです。そんな根底からマッドな社会で「長時間労働ハンターイ」と言っても、根っこが変わらなければ過重労働は改善されないとは思いませんか?
「しんどさ」や「苦労」を美徳としているくせに、他方で長時間労働に反対する私たちには自己矛盾がある。
まずはそこに気付いて、幸せに生きるために自分にも他人にも「正しく逃げる」ことを認められる、そんな人が増えていけば、日本は過重労働礼賛のマッドな呪縛からようやく逃れられるのかもしれません。
文/河崎 環 写真/PIXTA