朝食の「たんぱく質」で体内時計をリセット

 実は、朝食のたんぱく質にはもう一つ重要な役割があります。

 「それは『体内時計のリセット』。日本人の体内時計は平均で24時間10分あることが最新の研究で報告されています(※注1)。きっちり24時間ではないため、1週間で70分、1カ月で240分のズレが生じることになります。海外旅行に行かなくても、私たちは暮らしているだけで時差ボケ状態になってしまうんです」(細川さん)

 ※注1:出典/Intrinsic Circadian Period of Sighted Patients with Circadian Rhythm Sleep Disorder, Free-Running Type

 最近の研究では、この体内時計の乱れが糖尿病や肥満、うつなどの原因になるということが分かっています。また、何となく目覚めがすっきりしない、朝から頭が働かない……といったことは、誰しも経験があるのではないでしょうか。

 「体内時計をリセットするには、朝日あるいは強力な光、朝食が有効です。朝日を浴びると脳は起きるものの、全身の細胞は眠ったまま。起床から2時間以内に固形物を食べて内臓を動かすと、体を目覚めさせることができます」(細川さん)

体内時計をリセットする食事内容は?

 体内時計をリセットするのに特に効果的な朝食は「たんぱく質×糖質」の組み合わせ。例えば納豆ご飯、シリアルヨーグルト、スクランブルエッグサンドなど、炭水化物にたんぱく質を加えることがポイントです。

 「たんぱく質というとヨーグルトや牛乳などの乳製品が思い浮かびがちですが、乳製品のみだと鉄分が補えません。20~40代女性の約半数が潜在的な鉄欠乏リスクに該当しています。なるべく朝に、卵や豚そぼろなど、動物性たんぱく質を食べるのがおすすめです。鉄分の吸収率は朝がもっとも高まることを、ぜひ覚えておいてください」(細川さん)

動物性たんぱく質を食べましょう (C) PIXTA
動物性たんぱく質を食べましょう (C) PIXTA

 また、夜勤があったり残業が続いていたりして、日ごろから体内時計が乱れている人は、「たんぱく質×糖質×魚」を食べることでリセットできる可能性があるそう。

 「魚は特にDHA・EPAが豊富な鮭やマグロ、カツオ、サバなどがよいですね。伝統的な日本の朝食である、ご飯とお味噌汁、魚の干物ならパーフェクト。朝から干物を焼くのはハードルが高いという人は、鮭フレークやツナ缶を活用してみて。簡単に鮭茶漬けや鮭おにぎり、ツナサンドが作れますよ」(細川さん)

 他にもサバ缶やオイルサーディン、ちりめんじゃこに鰹節……手軽に使える食材は、まだまだありそう。ちょっと食材をプラスするだけで、理想的な朝食が作れるんですね!