実写版のリアルさは、人間の狂気がより強く描かれ、その卑しい心こそが野獣なのではと気付かせてくれます。
ディズニーランドも好きですが、お酒が飲めるディズニーシーが大好きなライター、ゆうせいです。いよいよ「美女と野獣」の実写版が公開となりました。
本作、女性はもちろん、男性でもかなりの方がアニメ版をご覧になっていると思うのですが、いつも通り極力ネタバレなしでコラムをお送りいたします。
一人の傲慢な王子が、その振る舞いが元で魔女に呪いを掛けられ、醜い野獣の姿に変えられてしまう。人間に戻るためには、魔女が残した一輪のバラの花びらがすべて散ってしまう前に、誰かを心から愛し、愛されなければならない。さもないと永遠に野獣のまま……。希望を失いかけていたときに村の娘ベルと出会う。美しいベルと、醜い野獣の出会いは、果たして奇跡を生むのか?
人間はインセンティブ(報酬)よりもパニッシュメント(罰)で動く
呪いによって醜い野獣に姿を変えられてしまう。物語ではよくある展開ですが、その走りといってもいいのが本作です。
生まれながらにして何もかもを手にしている王子が、人の気持ちを理解せず、自分勝手に傲慢な振る舞いをしたことがきっかけで魔女に呪いを掛けられる。自業自得といえばそれまでなのですが、人間は野獣にされると徐々に素直になれるようです。
「千と千尋の神隠し」のように名前を変えられるのもつらいですが、醜い野獣に姿を変えられたら誰もが落ち込むだけ落ち込んで、「マジでちゃんとしよう」と思いますよね。
言い換えれば、罰を与えられるとなると必死になるということ。例えば、仕事で結果を出せばインセンティブを支給するといわれても、頑張る人はごく一部です。そもそも、それらの人はインセンティブがなくても頑張る人です。
しかし、結果を出さないと罰を与える、具体的には減給、降格すると言われると、誰もが必死になります。出来高で報酬をもらうことより、今の自分の収入が減ることのほうがリアルに想像できるからです。
そして、取られたら取り返し、二度と奪われないように気を付けるようになるのです。
とはいえ、本当に恐ろしいのは人間のなかに巣食う野獣のような心なんですけどね。