十分な貯蓄が、新しいことに踏み出すきっかけになることがあります。今回登場するのは、37歳で看護師になろうと決意し、準備中の女性。一人暮らしをしながら貯めてきた約1700万円のお金が、新しい挑戦に向けて背中を押してくれたそう。貯蓄を生かしてスキルアップに励み、日々を楽しんでいる彼女にお聞きしました。

K・Kさん(37歳)
管理栄養士
独身、一人暮らし

手取り年収:270万円
貯蓄(投資)総額:1740万円
人生幸福度:90点

夢に向かって頑張れるのは、貯蓄のおかげも大きいかも (C)PIXTA
夢に向かって頑張れるのは、貯蓄のおかげも大きいかも (C)PIXTA

――K・Kさんは現在、管理栄養士として働く一方で、看護師になるためにひそかに勉強をしていると聞きました。

 「はい、看護師は子どもの頃からの夢だったんです。実際は管理栄養士になってずっと働いてきたのですが、数年前から『今の仕事を一生続けていっていいんだろうか』という迷いが出てきました。とはいえ『今までやってきた管理栄養士の仕事しかできないのでは』という思いもありました。

 仕事の経験を積むにつれて、当然ですが責任はどんどん重くなり、仕事の量も増えていきます。何とかこなせてはいたので『このままやっていけるかも』という自信も出てきたりして、気持ちが揺れていました。

 そこで、他にどんな仕事があるのか、市場調査のつもりでハローワークに行ってみました。すると、管理栄養士の求人はそれほど多くないことに気付きました。配置される人数が少なく、なかなか空きが出ない仕事なんです。また、管理栄養士は高学歴化が進んでいて、超高学歴の方と肩を並べて仕事をするためには、自分の技量をもっともっと磨いていかねばと思いました。

 いろいろなことを考えましたが、これまでの経験を生かしつつ、人に寄り添える仕事として、昔の夢だった看護師を目指してみようと思い立ちました。少し前に、他の職場から『管理栄養士として来てくれないか』とお誘いを受けたこともあり、もし看護師への挑戦に失敗しても、管理栄養士としてやっていく道はあるという安心感もありました」

――37歳で新しい道に踏み出そうというのは、大きな勇気が必要だったのではないでしょうか。

 「正直、『本当に大丈夫だろうか?』と、思ったりもします(笑)。でも、他の職場からのオファーを断った時点で、自分の中ではもう心は決まっていました。それに、仕事を辞めてはいないので失ったものは全くなく、ワクワク感のほうが大きいかもしれません。

 今は全力で取り組んでいるので、もし看護師になれなかったとしても納得がいきます。勉強自体が楽しくなってきたので『ダメだったけど、面白い経験だったなぁ』と振り返ることができそう……。経験を重ねた37歳だからこそできる挑戦だと感じています」

――新しい挑戦に向けて、貯蓄も後押しをしてくれたそうですね。

 「はい。これまで、将来のためと思いながら貯めてきたお金が1750万円ありました。予備校代をまず10万円支払ったので、今は1740万円です。いざというときにお金がしっかりあってよかったと思いました。これからは『使う時期』ですね。

 看護学校に合格したら、学費はすべて貯蓄で賄えそうですが、貯蓄の多くを使ってしまうのはリスクがあるので、できれば専門実践教育訓練給付金という手当がもらえる看護学校に行けたらと思っています。調べてみたら、専門実践教育訓練給付金の支給条件を満たしている看護学校は多くはないので、受験結果次第なのですが……。もし、支給条件を満たす学校に合格できなかったら、働きながら准看護学校に通い、看護師へステップアップする方法もいいなと考えています」