ドラミとみくりの、人間関係における共通点

 みくりは人間関係でも難儀しているのです。大学時代に付き合っていた彼が就職活動で苦戦していたとき、よかれと思って言ったアドバイスが的確過ぎて彼は気分を害し、「お前、小ざかしいんだよ!」とキレられます。そんな彼女は家事代行の依頼者である独身男性・津崎平匡(つざき・ひらまさ/演じるのは星野源)に対しては、完璧なビジネスモデルとして「就職先としての結婚」を提案して悦に入りますが、平匡が自分に抱く恋心をかなり後になるまで気付かず、彼を傷つけてしまいます。

 ドラミ女子の特徴である「賢さ」は、間違いなく長所です。しかし、時にそれが自分を苦しめることも少なくありません。

 例えばこんなことはないでしょうか? 不器用な人を見ると一言もの申したくなってしまう。チームでやっている仕事の非効率箇所が目に付いて、常にイライラしてしまう。パートナーを大切に思うあまり、ついお節介なアドバイスをしてしまう。交際や結婚のメリットとデメリットを把握し過ぎていて、思い切った決断ができない。論理的で隙のない正論を主張したのに、なぜか煙たがられる……。

 ドラミ女子の学生時代――往々にして進学校や名門女子校と呼ばれる場所――に、そんなあつれきはありませんでした。間違っていること、非合理なことを指摘すれば先生に褒められましたし、問題が起これば学級会で極めて公正に解決策が話し合われました。

 また、学校には「成績」という、努力量を可視化する公平な物差しが存在します。勉強すればするほど結果が出る。真面目なドラミ女子は、やればやるほど褒められる「勉強」に励み、よい成績を取って大人たちに褒められ、高い偏差値の学校に進学するということで、努力が可視化されました。努力とご褒美が等価交換だったのです。

 ところが、社会に出たドラミ女子は打ちひしがれます。