提案が実行されるまで携わりたい

 入社後は社会イノベーション本部に配属されました。クライアントを業種で分けず、さまざまな企業の新規事業の立ち上げ支援や企画立案を行うことが仕事でした。それまでにやったことがない業務だったのでいろんなことが学べましたが、作成した事業計画を提出するところまでで、実行までは携われなかったことが多くありました。

 コンサルタントは、お客様が見いだせない視点からアイデアを出すことが大きな役割の一つです。その意味では、視点を提示することで十分貢献しているという考え方も当然できます。ただ、私は3年ほど働く中で、どんなに小さなことでもいいから、自分が考えたものが最終的に実行されるところまで携わりたいと思うようになりました。

「アイデアを『実行』するところまで携わりたい」と話す河野さん
「アイデアを『実行』するところまで携わりたい」と話す河野さん

自分の価値観を大切にするために選んだ道

 一方で、「自分はコンサルタントには向いていないのではないか」という思いもずっと心のどこかにありました。クライアントの状況や担当者の思いについ感情移入してしまい、「感情に振り回されるな」と注意されたことも。私より後から入社した若いコンサルタントが、冷静に案件と向き合いどんどん昇進していく。「上を目指すならこのプロジェクトに参加したらどうだ」とアドバイスをもらっても、自分のやりたいことではないとどうしても受け入れることができませんでした。

 自分の価値観を大切にするなら、別の仕事に移った方がいいのかなと考え始めたとき、偶然見つけたのが、「ふるさとプロデューサー育成支援事業」でした。

 地方再生の担い手となる人材を育てることを目的とした中小企業庁の社会人インターンシップ制度で、受け入れ先となる全国各地の事業者やNPOなどの元に4カ月間滞在し、研修生として現場経験を積むというものです。「面白いかも」と思って説明会に申し込み、そのまま応募。普段はすごく悩むタイプなのですが、これに限っては不思議とすぐに決められました。