皆が一斉に同じようなリクルートスーツに身を包み、自己分析をする学生時代の就職活動に「全く違和感なく取り組めた」という人はいないのではないでしょうか。内心、「働くイメージが湧かないのに志望動機なんて浮かばない」「就活のために自分をつくることに抵抗を感じる」といった気持ちを抱きながら就活をした、という人も多いように思います。今回は、「就活への違和感から就職活動をしなかった」というアラサー女子が、2度の転職を経て「長く働けそう」な仕事に巡り合うまでのストーリーをお届けします。

29歳で年収アップの転職を実現!

 「転職して本当に良かったですね。仕事は忙しいですが、前職のような厳しいノルマはなく、ちゃんと休みも取れます。年収もかなりアップしました」と、語る有里さんは、大手情報通信会社で、ウェブサイトの運営ディレクション業務を担当している。自社サービスのユーザーや対象者向けの企画を考え、記事制作をライターに発注。より多くの読者に届くようコンテンツを充実させていくのが有里さんの仕事だ。今の会社に転職して、約半年。新しい職場にも慣れてきたという。

 有里さんは転職3社目だが、「実は私、就職活動はしていないんです」と話す。大学時代、有里さんの仲が良かった友人たちは、大学院進学や留学の道を選択する人が多かったこともあり、なんとなく就職活動に入れないまま、卒業時期を迎えてしまったのだという。

 「リーマンショック後で就職が厳しかったこともあるのですが、そもそも、私、働くイメージを持てなくて。何がやりたいのか、働きたいのかも分からず、リクルートスーツを着て就職活動をすることに抵抗感がありました。面接で、自分をつくるのも嫌だし……と。若かったし、ちょっと面倒くさいタイプだったんです(笑)」

何をやりたいのかも分からず自分をつくる就活に抵抗感があって…… (C) PIXTA
何をやりたいのかも分からず自分をつくる就活に抵抗感があって…… (C) PIXTA

就活に乗り遅れ、ツイッター就職

 就職活動をしないまま大学卒業のときが近づき、進路が決まっていなかった有里さんはそのまま留年して大学に残り、大学院への進学を目指すことにした。ところが翌年、有里さんは大学院受験に失敗。

 「就職活動を始めようにも、どこも終わってしまっている時期でしたし、そもそも自信もすっかり無くしましたね。こんな私にできる仕事なんてもうないんじゃないか、と落ち込んでいました」

 そんなときに、ふと目にしたのがツイッターで流れてきた求人広告だった。

 「業界専門誌の広告営業の求人でした。営業なんて、やったことはなかったし、自信もありませんでしたが、なんとなく営業職ならば、その後もつぶしがきくんじゃないかな、という軽い気持ちで応募したんです」