前回の記事「食べて脂肪を燃やす 自律神経のスイッチ切り替え食品」では、食品に含まれる成分で自律神経のスイッチを切り替えられることがわかりました。交感神経と副交感神経、これらの自律神経の働きが整えば、体の調子はよく心もスッキリ! 今回は、脂肪を燃やしてくれる食品を6つご紹介します。

 食事をすると、消化や吸収、栄養の運搬などにエネルギーが使われ、体温が上がるが、「カプサイシンなどの辛み成分は、この食事誘導性熱産生(=DIT)量を増加させる」と京都大学大学院農学研究科の河田照雄教授。動物を使った研究で、運動をしなくても深部体温が上がることが確認されているという。

 「カプサイシン以外にも、魚油やポリフェノール、甘味料やにおい成分にも交感神経を刺激して、褐色脂肪細胞の働きを高めるものがある」と河田教授。運動もせず、食べることだけで代謝を高めてエネルギー消費を増やすことから、これらの食品をとることを“食べる運動”という専門家もいるという。

 岩崎さんは、「体温が1℃上がるだけで、免疫力が高まり、血の巡りが良くなるため、老廃物を排出しやすくなる」と、体温上昇のメリットを挙げる。

辛み成分をとり続ければやせ体質に

 褐色脂肪細胞は大人になると少なくなるといわれていたが、「近年の研究で、大人でも褐色脂肪細胞があることがわかってきた。唐辛子などの香辛料や香辛野菜をとるとたいていの人は体が温かくなる。これは、褐色脂肪細胞で熱産生が高まっているから」と自治医科大学医学部生理学講座講師の岩崎有作さん。

 なかにはカプサイシンをとっても体温が上がらない人もいる。「太っている人に特にその傾向が見られる。おそらく、褐色脂肪細胞にかかわる交感神経活動が鈍り、熱をつくる機能が弱まってしまっているため。こういう人でも一定期間カプサイシンなどを含む食品をとり続けることで、食後の交感神経活動が高まり、弱まっていた機能が回復して、やせやすい体質に変わったという研究もある」と岩崎さん。日常的に香辛料などをとり続ければ、体質改善につながるという。

 「ただし、DITによるエネルギー消費量の増加は非常にわずかなもの。短期間でダイエットをしたいなら、食事コントロールや運動も忘れずに」と岩崎さんは指摘する。