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帰省が重荷にならない発想転換―父娘の微妙な関係

2018年6月21日

「生きるとか死ぬとか父親とか」―ジェーン・スーさんに聞く(3)

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 ご自身の父親を題材にした新刊「生きるとか死ぬとか父親とか」が好評発売中のジェーン・スーさん。インタビューの3回目は、私たちが今考えるべき親との関係について、具体的にスーさんにアドバイスを頂きました。

「親が年を取るなんて許せない」と思う子どもの身勝手さ

 携帯から父の大声が漏れる。そばにいた同僚が堪え切れずブフフと噴き出す。父の大声を聞きながら、まだまだ威勢があるなと頼もしい気持ちになった。
 「おい、会食はおまえがご馳走しろよ」
 「やめてよ、私をライオンのたてがみみたいに扱わないで」
 どこかの信用金庫がこしらえた、クレジットカードの使い過ぎに注意喚起するポスターが頭をかすめる。何枚ものクレジットカードのおかげで、自分をライオンだと勘違いした猫のイラストが描かれているものだ。
 「お父さんはね、猫なのよ」
 「最近のたてがみは、取り外し可能なんだよ」
 お父さん、それはアマゾンのコマーシャル。しかも犬だ。父へのプライムサービスは丁重にお断りしたい。

ジェーン・スー著「生きるとか死ぬとか父親とか」「ミニ・トランプ」より

編集部:スーさんの書籍はすべて読んでいますが、これまでの本とは全く違った印象を受けました。読者からの反応はいかがでしたか?

ジェーン・スー(以下、スー):「今までの本とは全然違いますね」というリアクションは確かにありました。感想も20~30代の人からよりも、自分と同世代の人から頂くことが多いです。親が老いていくことがなかなか受け入れられないと思ったときに、こういうテーマについて考えるからではないでしょうか。ただ、20~30代は「親が年を取ってきたな」という瞬間を感じ始める時期でもあると思います。

編集部:家を出てから、「実家に帰るたびに親が年を取っていくように感じる」という話はよく聞きます。

スー:それはそうですよ、現実に時間が流れているんですから。子どもの側には「親が年を取るなんて許せない」という勝手な思いがありますよね。いつまでも親には親で、ちゃんとしていてほしいというような。それはそれでむごいことですよね。人は誰でも年を取るんだから。ただ、それが分かっていても、父に対してつっけんどんになってしまうこともあります。老いを責めても仕方がないのに。

編集部:今でもお父さんとケンカになることはありますか?

スー:今はほとんどないです。ケンカになる前にどちらかが折れます。体力的にも難しいですよ、80の人とケンカをするのは。この20年で父との適切な距離が見えてきて、これ以上近づくとケンカになるし、理解し合おうとするとトラブルになるのが分かる。だから今は「完璧な相互理解の放棄」でうまくいっている気がします。カチンとくるようなことが全くなくなったわけではないけれど、それはそれで流せるようにはなったかな。

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