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米大統領選を動かしたアメリカ人の「嫌悪感」の正体

2016年12月1日

ヒラリー陣営の息の根を止めたミシガン州の住民たちの声を聴く(下)

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世界に衝撃を与えた米大統領選の決戦からもうすぐ1カ月が経ちます。米大統領選をトランプ勝利に導いたアメリカ人たちが語りたがらないホンネとは? 前編「トランプ勝利報道で聞こえない『普通の人』のホンネ」に続く在米ジャーナリスト・長野美穂さんによるご寄稿記事後半です。

白人99%の土地に「LとRの発音の区別ができない記者が来た!」

外国人の訛りの強い発音は全く理解されない白人99%の北ミシガンでは、移民に遭遇する確率はゼロに近い (C)PIXTA

 そういう「誰もが誰もを知っている」スモールタウンで6年暮らした私は、カリフォルニアに引っ越してきて、あまりにも移民たちの英語が訛っているのにびっくりした。

 「こ、こんな英語で通じるんだ!」と目から鱗が落ちたのだ。

 白人99%の北ミシガンには外国人はほとんど住んでいない。

 つまり、外国人のアクセントの強い英語に慣れている人がおらず、強いアクセントを聞くと、彼らはまるで宇宙語を聞いたような顔になり、全く理解できないのだ。

 その証拠に、日本からミシガンに移住したばかりの頃、誰と話しても「は?」と何度も聞き返された。

 それだけ日本語アクセントが強かったからだが、ミシガン内では、大きな街の巨大な大学などのキャンパスでない限り、外国人が複数で大量にいる場所はほぼないに等しいのだ。

 北ミシガンでは、まず日本語アクセントをそぎ落とさなければ、対面取材でも、電話取材でも、とてもじゃないが仕事にならなかった。

 「私、自分のアクセントは個性だと思ってるの」とニューヨークに住む日本人の友人が言ったのを聞いた時、彼女と自分は別の惑星に住んでいるのかと思った。

 外国人アクセントに慣れた人がいない北ミシガンではアクセントは「個性」などではなく、会話を阻む「ハードル」でしかないからだ。

 「LとRの発音の区別ができない記者が来たぜ」と北ミシガンのニューズルームでは100万回ぐらいからかわれた。

 カリフォルニアの新聞社に入ってみると、ニューズルームでは外国訛りのある記者は、やはり私以外は皆無だったのだが、新聞社のプレスルームと呼ばれる印刷所では、フィリピン訛り、アフガニスタン訛り、タイ訛りの社員で溢れかえっていた。

 そして新聞社を一歩出れば、メキシコ移民が大量にいるLAの街では、スペイン語が溢れているわけだ。

 例えば「メキシコとの間に壁を作る!」「イスラム教徒を入国させるな!」と叫ぶトランプ。

 だが、カナダに近いミシガン北部に住む多くの人間にしてみれば、メキシコ国境は遙か彼方で、映画でしか見たことがない場所だ。

 そもそも北ミシガンの街にいるメキシコからの移民は、たった1軒だけあるメキシカンレストランのオーナー、ホセとその家族だけ。

 カリフォルニアに住んでいる私にしてみれば「タコス」の店はあちこちにあって珍しくもないが、この「ホセの店」は白人が99%の北ミシガンの住民たちにしてみれば、行列が出来るほど人気で「貴重な」本場のメキシコ料理の店なのだ。

 イスラム教徒の移民の数が圧倒的に多いデトロイト近郊のディアボーンも、北ミシガンから車で片道6時間以上かかる遠い場所だ。

 つまり、自分たちの日々の生活には違法メキシコ移民、イスラム教徒がほとんどおらず、差別うんぬん以前に、そういう相手と遭遇することもゼロに近いという環境なのだ。

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