新聞を野球場に例えて理解してみる
――2月末からは国有地が森友学園に特価で売却された問題、そして獣医学部新設を巡る加計学園に関わる問題がありました。全体像をつかむのが難しい問題ですが、これはどう見られていますか?
鹿島 野球場では、同じ試合を見ていても、一塁側と三塁側では雰囲気が違います。一塁側はホームチームを応援している一方、三塁側はビジターチームを応援しているので、ホームチームに対して少し距離を置いています。それは安倍政権と新聞社の立ち位置でも同じです。
僕は、安倍政権という野球場では、一塁側にいるのが、読売新聞・産経新聞だと思っています。政権と親和性が高い、もしくは政権を支持している新聞です。対して、三塁側が朝日新聞・毎日新聞・東京新聞です。政権に距離を置いている、もしくは批評的である新聞です。
それを頭に入れて読むと新聞は面白いんです。森友学園問題をいち早く報じたのは全国版では2月9日の朝日新聞でした。それから毎日新聞や東京新聞が連日報じて、9日後に国会で話題になったときに、読売新聞と産経新聞が報じ始めたのです。
先に報じたのは三塁側の新聞でしたが、騒ぎが大きくなると今度は三塁側の論点や記事もどんどん増えます。すると読み手は情報についていけない瞬間もある。そんなときに僕は、一塁側の読売新聞や産経新聞を読むことで、いったん整理しました。
安倍政権を応援している新聞は、森友学園問題をあまり取り扱いたくはないでしょう。しかし、あれだけ国会で話題になってしまうと報じざるを得ない状況になります。そんなときにどうするかというと、大事な情報だけをコンパクトな記事で報じるわけです。よって、分かりやすいのです。
あと、森友学園問題は籠池泰典さんのキャラクターが強かったので、籠池さんに関して情報収集をする際は、まず新聞かラジオにしていました。キャラクターに引っ張られないように「文字」と「音」に注目したのです。ワイドショーでは「籠池劇場」といった報じられ方になり、本質的なもの以上にキャラクターに焦点が当てられてしまいます。なので、新聞・ラジオで基本を押さえた上で、ワイドショーも楽しみました。