2017年上半期、さまざまなニュースが話題になりました。「芸人式新聞の読み方」の著者であり、「時事芸人」として朝刊紙からスポーツ紙、夕刊紙、タブロイド紙まで読み込んでいるプチ鹿島さんに、この半年間で気になったニュースを振り返っていただきました。前編として、トランプ大統領の就任と、3月ごろから続く森友学園・加計学園問題についてのお話をお届けします。

プチ鹿島(ぷち・かしま)
1970年長野県生まれ。スポーツからカルチャー、政治まで幅広いジャンルをウオッチする「時事芸人」として、テレビ、ラジオ、雑誌などでレギュラー多数。手にしているのは著書の「芸人式新聞の読み方」(幻冬舎)

トランプ大統領は「この時代の生きた教材」

――昨年11月の米大統領選で当選したドナルド・トランプ氏が、1月20日付けで第45代アメリカ合衆国の大統領に就任しましたが、どんな印象を持たれましたか?

プチ鹿島(以下、鹿島) 大統領選の頃は、トランプ大統領を支持している人たちの不満などがあぶり出される様子を見ながら、アメリカってこんなに悩んでいるのだなと興味深く見ていました。当時は「最後はヒラリー・クリントンが勝つのだろうな」と思っていたのですが、本当にトランプが当選して、「現象としてのトランプではなく現実としてのトランプになった」ということに驚きました。

 ちょうど大統領選が行われていた昨年末から、「フェイクニュース」(=虚偽の内容で作られたニュース)や「ポスト真実」(=事実よりも感情的な内容を重視する風潮)という言葉が注目されるようになりましたよね。それはトランプ現象とつながっていると思います。

 大統領選中はトランプ陣営もヒラリー陣営も、お互いに、「フェイクニュース」のようなあおったニュースを出し合っていました。いわば「ノーガードの打ち合い」で、最終的にはトランプ大統領のほうが情報量で上回ってしまった。情報が拡散すればするほど、見られた回数の多い情報が真実よりも勝ってしまうというのが現代的だと思います。