最近、仕事を「やりつくした」感があり、以前のように意欲が湧いてこない。かといって新しいことに挑戦するのも怖い……。37歳読者さんからの相談です。いったいなぜ、こんな状態に? 健康社会学者の河合薫さんとアラサー独身OL代表のニケさんが答えます。

【Q】仕事への意欲が低下。新しいことに踏み出すのも怖い

あるあるカイシャ事件簿vol.100「仕事への意欲がダウン、新しいことにも踏み出せない」
 専門職に就いて早17年、37歳の女性です。今の生活にはある程度満足していますが、仕事に慣れ過ぎたせいか、定年までまだまだあるのに、仕事面ではまるで余生のようだと感じることがあります。「やりつくした感」があり、以前のようにスキルを磨こうという意欲が湧いてきません。とはいえ、今の仕事を辞めて全く新しい分野にチャレンジするのも年齢的に少し怖いのです。モチベーションが上がらないまま、今の仕事を続けていくことに罪悪感があります。
 今まで河合さんが、ステージを変える時に感じた恐怖心をどのように克服されたのか、どのようにモチベーションを保ってこられたのか知りたいです。(37歳、医療関係、独身)

仕事に慣れ過ぎたのかも…でも、変わるのもちょっと怖い (C)PIXTA
仕事に慣れ過ぎたのかも…でも、変わるのもちょっと怖い (C)PIXTA

【A】その不安は誰にでも訪れる「思秋期」。充電すべき時の到来です

ニケ うふふ。薫さん、出番です!

カワイ ですね……。いい悩みですね。

ニケ いい悩み? あ、分かった! 「カオルさんのこと教えて~」って、薫さんを持ち上げたところですね!

カワイ 最近、めっきり褒められることがなくなったからね。

ニケ へ? これって褒めてる……? そうですね、褒めてます! モチベーション! 薫さんのモチベーションですよ!

カワイ いい悩み、って言ったのはね、37歳独身さんのお悩みは、と~っても「アラフォーらしいお悩み」だからです。いわゆる「思秋期」に突入したのね。

ニケ 思春期ですよね?

カワイ いいえ。「思秋期」です。

ニケ ふ~~ん。初めて聞きました。でも、春が秋になるだけで、ちょっと切ない印象を受けるのは気のせいでしょうか?

カワイ 気のせいじゃないです。思秋期は「ミッドライフクライシス」と呼ばれることもあるし、「中期キャリアの危機」と表現されることもある、「えたいの知れない不安」です。

 人間には、アイデンティティー(自己の存在証明、自分とは何者であるかの自己定義、あるいは自分自身は社会の中でこうして生きているんだという実感、存在意義)を探索する欲求があります。

 40代になると、まるで思春期の頃のように自分探しを始め、新たなアイデンティティーを確立しようとする思秋期を迎えるの。