「女性って○○だよね」という強力な刷り込み
ニケ た、確かにそうかも。ニケも入社当初、キャッキャ騒いでたら、「女の子は楽しそうでいいね~。でもね、ここは職場だよ!」ってオジさん社員に怒られたことがあったんです。そしたら、ひろみ先輩が「ニケさんが楽しんでるだけです! 私は真面目に働いてます!」って、怒りだしちゃって。しかも、ひろみ先輩たら、「“女の子”よばわりされてるのに、ヘラヘラしないでちゃんと怒りなさいよ!」って、ニケにも怒りだしちゃて、怒りのトライアングルでした。テヘへ……。
カワイ (笑)ひろみ先輩、よほど虫の居所が悪かったのね。
ニケ ですね(笑)。あ、そっか。「女」って主語をやめたら解決策が見つかるかも……。
カワイ ピンポ~ン! その通りです。まずは、小さい主語を使ってみてください。「女性が多く、よい関係のつくり方が分かりません」ではなく、「○○さんは話しやすそうだから話し掛けてみよう」「××さんはちょっとよく分からないから、積極的に関わるのやめよ~」という具合に。これで27歳会社員さんの相談の8割は解決できます。
ニケ そ、そうですか? もっと根深いような……。
カワイ じゃ、聞くけど、ニケさん、さっき「分かるような~、分からないような~」って言ってたけど、分からないのはなぁに?
ニケ 頑張って褒めてコミュニケーションを取ってるって書いてあるじゃないですか? ……薫さんも女ですよね?
カワイ 男だと思ってた?(笑)
ニケ っていうか、薫さんって、むやみやたらに人のこと褒めないじゃないですか?
カワイ (ギクッ)……私の辞書に、「おべっか」という文字がありませぬゆえ。でも、ホントにすごいなって思ったときはちゃんと言います。ホントのことしか言わないだけです!
ニケ 実は、ニケもあんまり褒めたことないですぅ……。
カワイ 「みんなすごい!」って思ってるから、いちいち褒めてたら、きりがないからでしょ。
ニケ うわぁ! なぜ、バレる? そうなんです。だから漫画とかコントとかで、お互いを褒め合う女性たちが出てくると「いるいる~!」って笑っちゃうけど、実際にはそんなにいるのかな~って……。ニケの頭の中は「???」 だらけになってしまうのであります。
カワイ ジェンダーステレオタイプですね。
ニケ ジェンダーステレオ?
カワイ 「男性ってこういうものだよね~」とか、「女性ってこうあるべきだよね」といった性別による特徴に関する社会的な概念をいいます。
ジェンダーステレオタイプは、親が子育てをするときから始まるので、皮膚の下まで刷り込まれる。結構やっかいな無自覚の価値観です。
ニケ 皮膚の下! こ、怖い!
カワイ 赤ちゃんは「女の子はお人形さん遊びやごっこ遊びを好む」といった、親のジェンダーステレオタイプに沿って育てられる。
ニケ 男の子ならボール遊びとか車遊びとか。
カワイ ある実験で、3歳と5歳の子どもに「生後12カ月の赤ちゃんが遊んでいるビデオ」を見せ、赤ちゃんの印象を聞いてみました。その際、一つのグループには「右側の赤ちゃんは女の子、左側の赤ちゃんは男の子」と伝え、もう一つのグループには「右側は男の子、左側は女の子」と逆パターンを告げて、反応の違いを比較したのです(ビデオの赤ちゃんは同一)。
その結果、どちらのグループも「女の子」と告げられた赤ちゃんには「弱い、遅い、無口、優しい」と感想を述べ、「男の子」とされた赤ちゃんには「強い、素早い、騒々しい、元気」と、ジェンダーステレオタイプに即した答えが散見された。
ニケ ひえ~。