人格を傷つけられてまでやるべき仕事なんてない
カワイ たかが仕事です。
ニケ たかが仕事?
カワイ そうです。たかが仕事です。自分の人格を傷つけられてまで我慢してやらなければならない仕事なんて、この世に存在しません。
どんなに仕事でキラリと光る側面を持っている人でも、どんなにパワーを持っている人でも、人が嫌がることを平気でやるような人は最低な人間です。そんな最低な人のせいで涙する必要はない。
ニケ たかが仕事ですか……。
カワイ 会社に「労働力」は提供しても、「人格」を提供しているわけじゃないでしょ。
私も若い時にはお尻を触られたり、夜中に呼び出されたりしたこともあります。年を重ねてからは、「こんなこと若い人に言ったらセクハラになっちゃうから」とエクスキューズを言って、卑猥な質問をしてくるジジイもいました。
嫌でしたよ、ホントに。なんで私がこんなことされたり、言われたりしなきゃいけないんだ、って。バカにされてる気がして自分が情けなくなったこともあります。でもね、私はそういう行いをする人を軽蔑しました。どんなに仕事ができても、人として最低だと。そういう人のために自分の大切な時間を使う必要はないと考えて、自分から相手との関係を絶った。
おそらく私がこういうことを言うと、ニケさんは「会社に勤めてる人にはそれはできない」って思うでしょ?
ニケ は、はい……。
カワイ でもね、たかが仕事なのよ。今回の事件でテレ朝が会見したことで、「部下から相談されたときに、状況を容認してはいけない」という認識だけは、社会に広まりました。なので、難しいかもしれないけど、我慢しないで、上司に相談してほしい。
ニケ どんなに権力ある人でも、どんなに仕事ができる人でも、人間として最低な人に自分の大切な時間を使う必要はないし、そんな最低な人間のために我慢することはない……のですね。
カワイ そして、もし自分が相談されたら、「労働者である前に人である」ということを忘れないでほしいです。被害者の力になることは誰にでもできます。
ニケ うん、なんか少しだけ勇気が出ました。そうですよね。たかが仕事です! たかが仕事で人生を棒に振ることがないように、被害者の力になることはニケにもできると思います。皆さん、セクハラの相談があったらどんどんくださいね。ニケが力になります!
文/河合薫 イメージ写真/PIXTA
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