前向きな再スタートとしての離婚はナシ?

 そんな中で最近、離婚についての考え方で納得したのが、「Grow Apart」というもの。

 NY在住のエッセイスト、佐久間裕美子さんの著書「ピンヒールははかない」(幻冬舎)で語られていたのですが、現在アメリカでの離婚原因で多いのが、夫婦それぞれが別の方向に成長した結果、価値観が合わなくなってお別れをする「Grow Apart」だというんです。

 人間は日々変化していく生き物。だから当然、将来の夢が出会った当初と違うものになることもあるでしょう。そういったとき、「今は一緒にいるタイミングじゃないね」と、軽やかに、前向きに離婚を選択できるような社会はいいなと感じました。どちらかが後退したわけでもなく、仲が悪くなったわけでもなく、方向性の違いで解散する――それを失敗として扱ってしまっては、当人同士も、社会全体としてももったいないことですから。

結婚、血のつながりへの過剰な神格化はやめにしたい

 そもそも日本は「結婚したら一生を添い遂げなければいけない」といった、「結婚の神聖化」を過剰に捉えている気がします。それに加え、結婚後は「家族=仲良くあるもの」という呪いが重荷となる人もいるのではないでしょうか。

 私自身、そんなに仲の良い家族でもなかったので、小さいときにはずいぶん「理想の家族像」に苦しめられました。

 「あの子の家は片親だから……」なんて陰口をたたく人もいますが、なぜ夫婦がそろっていない家族は即座に不幸となるのでしょう。私は両親どちらもいましたが、仕事が忙しい時期、父はほぼ家にいなかったので、それが逆に「お父さんがいるのに、なんで私のことは放ったらかしなんだろう」と苦しく感じたこともあります。家族がそろっているからそれだけで幸せというわけでもないんですよね。片親だからとか家族だから、なんていう考え方はすべて古臭いと思います。