競争心や攻撃性は、男性特有のもののように思われがちです。でも、80年代以降行われた同性間の競争行動に関する調査では、受け身的、調和的といった女性のイメージが間違っていることを指摘しています。女性も男性と同様に競争的で攻撃的あることが示されています。

 ま、そうですよね。

 心理学者のジョイス・ベネンソン博士によれば、同性間の競争は、異性を獲得するために本能レベルで起こり、競争の方法は、「自己宣伝」と「相手の卑下」の2種類に分類できるのだそうです。

 男性は自己宣伝の方法として、肉体的能力と社会的立場を強調し、女性は若さと容姿を強調します。また、相手を卑下する方法として、男性は相手の肉体的な弱さや経済的な低さに言及し、女性は相手の年齢、容姿、性格をおとしめる傾向にあるそうです。

 確かに「○○さんって性格悪いよね」と言っているのは女性のように思います。男性が悪口を言う時は「○○は使えない」などが多いように思います。

顔は笑っていても、心の中では火花を散らすなんてこと、心当たりがある方も少なくないのでは。

 でも、女性の社会進出が進んで、必ずしも女性間の争いが、異性をめぐるものだけでなく、男性間の争い同様に、あるポジションや役割や業務、社会的な地位や経済的な立場をめぐるものごとが含まれるようになった今、女性同士の戦いも、より複雑なものになっているように思います。

 「自己宣伝」と「相手の卑下」に加えて、「ターゲット誘導」と「ライバル誘導」といった方法が活用されます。

 ターゲット誘導は、例えば、自分が狙っているターゲットが、競争相手と接触することがないよう、ターゲットの行動を誘導する方法です。具体的には、狙っている男性を、美人の友人には紹介しないとか、競争相手がいそうな場所に連れて行かないといった方法です。これをビジネスにおきかえると、ランチタイムに、自分以外の有能な同僚や部下のいそうな休憩室ではなく、別の場所に上司を誘うなどでしょうか。

 ライバル誘導は、例えば、狙っている男性の悪口をわざとライバルに伝え、ライバルがその男性に興味をもたないように誘導する方法です。ビジネスシーンでは、自分が狙っている業務やポジションについて、それがいかに割に合わない仕事かということを同僚に伝え、同僚がその業務やポジションに興味をもたないように仕向けたりすることですかね。

 怖いことに、女性同士の競争には、更に、3つの特徴があるそうです。

1) ベールに包まれたような、間接的、陰湿な攻撃をする。
2) 競争相手に、仲間内での行動ルールなどを強要し、ひとりだけ目だった行動をとらないよう仕向ける。
3) 社交的な集まりやグループから競争相手を仲間はずれにする。これは、例えば、狙った男性に競争相手の悪口を直接伝えるのではなく、仲間に伝えることで競争相手を孤立させるという、女性特有の“間接的”な方法ですね。

 でも同じ状況にあって、他の女性を敵対視する女性もいれば、そうでない女性もいます。その違いはどこから生まれるのでしょうか。

 『Mindset - The New Psychology of Success (マインドセット - 成功の新しい心理学)』の著者キャロル・ドゥエック博士は、人は「成長思考の人」と「固定思考の人」に分かれると言います。

 「固定思考の人」は、才能は生まれ持ったものであり、努力しても獲得できないものだと思っています。そのため、何事も初めから上手くできないことは、自分には向いていないと考え、努力しても無駄だと感じます。また、周りからの評価を重要と思っているため、失敗する可能性のある物事にはチャレンジせず、確実に成功する、上手にできることのみを好む傾向にあります。また、評価を下げないために嘘をつく傾向もあります。

 一方で、「成長思考の人」は、能力は努力によって獲得できるものだと思っています。そのため、当初上手くできないことでも、努力すればできるようになると思っています。努力せず簡単にできてしまう物事に退屈を感じ、直ぐには上手くできないことに興味をもちます。失敗することよりも、努力の結果、できなかったことが、できるようになる過程を好む傾向にあります。たぶん、サッカー日本代表の本田選手は、究極の「成長思考の人」なんでしょうね。

 更に、「成長思考の人」は、他者の成功に触発されて自分も成功したいと感じます。他者の成功を喜び、自分もそうなりたいと感じ元気づけられます。そのため、「成長思考の人」は、自分よりも優秀な人の中にいることを好みます。知的な刺激を受けるからでしょう。結果、潜在能力以上の能力を発揮するようになるそうです。

 一方で、「固定思考の人」は、他者の成功は、自分の負けだと感じます。他者の成功は脅威であり、喜ぶことができず、嫉みを持ちます。そのため、「固定思考の人」は、自分が容易にできる分野にのみとどまることを選択し、自分と同等か劣っている人達に囲まれて過ごすことを好みます。安心感が得られるからでしょう。結果、潜在能力を十分に発揮できないことが多いそうです。「イエスマン」を好む上司がこのタイプらしいですよ。