皆さんは「ライフ・デトックス」という言葉を聞いたことはありますか?

体内の毒素を排出する「デトックス」なら、美容やアンチエイジングに関心の高い人には、

なじみのある言葉でしょう。この「毒素を排出してキレイになる」という考え方を、

生活空間全般に広げたのが、ここでご紹介するライフ・デトックスです。

今回は、インテリアデザイナーで、ライフ・デトックスの提唱者でもある美湖さんに、

日経ウーマンオンラインの読者のための、ライフ・デトックス実践の秘訣をシリーズで伺います。

 昨年12月に、初めての著書となる『ライフ・デトックス!』を出版した美湖(みこ)さん。そもそも、美湖さんがこの理念にたどり着いたのは、ご自身のある体験に基づいているそうです。

 「ある年の夏のこと、原因不明の倦怠感に襲われて、何に対しても積極的になれず、無気力で無関心という状態に陥ってしまいました。最初は『連日の猛暑のせいだろう』と気に留めなかったのですが、食欲は十分にあるし、夏バテとは違う。大好きだったファッションにも、興味が持てなくなっている自分に気付いたとき、『さすがに、これはまずい!』と自覚したんです」

原因不明の倦怠感は散らかった部屋のせいだった!

 「ふと家の中を見渡すと、片づけたつもりになっていた部屋の様子が、以前とは違うことに気づきました。処分した方がよさそうな本や雑誌が積み上げられたままだったり、使っていない物が部屋の隅に放置されていたり……。とにかく、部屋にあるすべての物が、まるでその時の自分を投影していたかのように、生気を失って見えたのです。『原因不明の倦怠感はこの部屋のせいだったのかもしれない。だとしたら、まず部屋を片付けることから始めよう』と思いました」

 長年、インテリアの仕事に携わってきた美湖さんですから、部屋を整えることにかけてはプロだったはずなのに、ちょっとした気の緩みが積み重なり、知らずしらずのうちに、不要品を溜めこんでしまっていたのだと言います。

 「そこからは、もう何かに取りつかれたのではないかと思われるくらい(笑)、処分と整理を繰り返しました。家中の物をすべて見直し、不要と思ったら処分、必要と判断した物は適切な位置に、分類して整理し直すという作業を集中的にこなしたのです。その甲斐あって、10日もすると部屋はすっきりと片付き、それと同時に、倦怠感や無気力感もウソのように改善されていました。家の中の物と空間を整えることで、気分まで落ち着いて、以前のように活動的な自分を取り戻していたのでした」

禅の思想を住空間に取り入れて…

 この体験がきっかけになって、美湖さんは住まいにおける物の管理や収納の状態と、そこに住む人の心身バランスの関係性に興味を持つようになり、独学でいろいろ調べていきました。

 「自分にとって快適な、リラックスできる空間とは何かを考えたとき、真っ先に禅寺が思い浮かびました。生活感を排除し、ムダなものが一切置かれていないあのシンプルな空間に身を置くと、私たちは雑念が取り払われ、心身がリラックスしていくのを感じることができます。さすがに自宅を禅寺のように整えるのは無理があるとしても、ムダを省いて、すっきり片付いた部屋を実現することは可能です。

 私自身、無気力状態を物の処分や整理で克服した経験があったからこそ、“足るを知る”、“物を手放す”といった禅の思想こそが、快適な住空間を実現するための基本原理そのものなのだと、すっと腑に落ちたのです」

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