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JALの客室乗務員になることが夢だった

2011年9月13日

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人材育成コンサルティング会社代表の前川孝雄氏がインタビュアーとなり会社を直撃する本コラム。

今回の「会社人」は、日本航空(JAL)の尾崎綾さん(35)。

話は、JALの客室乗務員として入社した時期から始まります。

 2011年3月に会社更生手続きを完了し、再上場に向けて新たなスタートを切った日本航空(JAL)。「お客様にサービスができる幸せ」を噛みしめながら、“新生JAL”として再出発を果たしました。そんなJALにあってサービス企画の中心を担うのが商品開発サービス部。

そこで働く尾崎綾さん(35)は、1年前まで客室乗務員として、世界中を飛び回っていました。

「飛行機のお姉さん」になりたい

 尾崎さんが客室乗務員に憧れたのはごく自然なことでした。お父さんの仕事の都合で、物心ついた頃から海外へ行く機会が多かった尾崎さん。バンコク、ジャカルタ、クアラルンプール、ダブリン、そして高校時代はローマで過ごすなど、幼くしてすでに世界を“飛び回って”いました。飛行機に乗ることが特別なものではなかった尾崎さんは、「飛行機の中でいつも見かけるお姉さんたち」に自然と憧れを抱いていきます。

尾崎 綾 さん

 「JALの客室乗務員になりたい」――。いつの日か芽生えた思いに突き動かされるように、以来ずっと、そのための努力を続けてきた尾崎さん。ローマで高校時代を過ごし、その後はアメリカの大学に進もうと思っていましたが、日本の大学に行っていた方が有利かもしれないと思いなおし、すぐさま帰国。各大学の就職状況を徹底調査し、その結果、青山学院大学に入学します。

 就職活動では、もちろんJALが第一志望、客室乗務員になることしか考えていませんでした。極度のあがり性で、面接がうまくいくか心配だった尾崎さんは、なんと場数を踏むために95社もの採用試験を受けたといいます。

「全部JALのためでした…」と、申し訳なさそうに語る尾崎さん。場数を踏んで挑んだJALの面接でも「全然感触は掴めず、合格発表までは家族全員が不眠症になるくらい不穏な日々を過ごしました」(尾崎さん)。

 内定の電話が来ると言われていた当日は、親戚一同が自宅に集まる大騒ぎ。「落ちたら残念会、決まれば祝賀会にしよう、と言って集まってくれました」(尾崎さん)。そして、運命の電話のベル。内定を知らせるその電話に、集まっていた親戚一同、抱き合って号泣したそうです。「その後、95社の中で内定をいただいていた会社さんにも、JALに決まったこと、本当は客室乗務員になりたかったことを、1社1社説明させていただき、ご理解いただけました」(尾崎さん)。

 1999年、こうして尾崎さんは、子供の頃からずっとずっと夢だったJALへの入社を果たすのです。

過酷な訓練の日々で学んだ「連帯責任」

 客室乗務員が入社してすぐに受ける訓練は2カ月に及びます。当時200~300人いる新入社員が時期をずらしながら20人ほどのクラス単位で行う訓練で、日々、社会人としての意識づけや心構え、飛行機の構造・知識などを徹底的に叩き込まれます。特にメンタリティの教育が重要で、それは想像を絶する厳しさでした。

 客室乗務員はサービス要員と思われがちですが、保安要員としてのウエイトがかなりの部分を占めます。有事の際、あるいはお客様にケガ人や病人が発生した時の対応、すべてが客室乗務員の仕事です。そのため、飛行機の構造を覚えることも当然必要。「サービスをする優しいお姉さん」に憧れていた尾崎さんは、理想と現実の違いに面食らいます。「父が飛行機の絵を描いて部屋の壁に貼るなどして、サポートしてくれました(笑)」(尾崎さん)。

 訓練が行われるのは訓練センターという場所。お客様のいない訓練センターでも、求められるのは「本物さながらの所作」。油断は一切禁物です。「常にお客様に見られていることを想定して行動し、それを教官が事細かに指導しています。落ちているゴミひとつまたぐことも意識の欠如ととらえられます」(尾崎さん)。

 その厳しさを物語るエピソードがあります。尾崎さんが訓練を共にしていたクラスで親睦会をしようということになり、バスに乗って10名ずつ会場に向かっていたときのこと。先に着いた10人のうちの1人が、バスを降りてからキャンディーを口にしたその瞬間。

「何やってるの!」

 いきなり聞こえた怒号は教官の声でした。「親睦会とはいえ、クラスで行動している以上は訓練の一環。いつもお客様に見られているという意識を持ちなさい、と叱られたんです。意識の低さを厳しく叱責され、担当教官は『これまであなたたちは何を学んできたの?そんなことも分からないようなら、明日からもう指導しません』と物凄い剣幕でした」(尾崎さん)。

 尾崎さんたちは自分たちの至らなさを猛省し、反省文を提出しようと決意。ところが、別のバスに乗っていた、状況を把握していないメンバーが「私達は関係ない」とその判断に反対したのです。

 この溝を埋めるべく、奮起したメンバーがクラス全員に呼びかけ、休日に皆で集まってミーティングをしました。1人のミスは連帯責任。それを20人すべてが理解しないと、この先もうまくいかないはず――。とことん話合った結果、皆で反省文を書こうということになりました。「この出来事のおかげで、1人でも別の方向を見ていると、いい形で物事を進めることができない、ということを学びました。互いにフォローし合いながら訓練を乗り越えていこうと、結束力を深めるきっかけになりました」(尾崎さん)。その後、担当教官からも「指導しないと言ったのは教育のひとつ」と種明かしをされ、ほっとしたといいます。

 このことで、尾崎さんやメンバーの意識に変化が現れます。「例えば、あまりの厳しさに脱落しかけるメンバーがいました。でも、そのメンバーを見捨てるのではなく、仲間がしっかりフォローするという人間関係を築けるようになったんです」(尾崎さん)。

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