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水銀汚染のイルカ肉、食べても大丈夫?

2010年8月25日

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 映画「The Cove」では、イルカの肉が水銀に汚染されていると指摘しています。映画の中で出てくる汚染の数字がどれほど正しいかぼくには調べがつかないのですが、イルカ肉に水銀がたくさん含まれていることは事実です。

 映画では、このことにかなりの時間を割き、水俣病のことにまで言及しているので、ぼくは、映画を作った人たちが、イルカのことを心配しているのか、人間のことを心配しているかよく分からなくなったほどでした。たぶん、「両方心配なんだ」という立場もありうるでしょうから、この点を突っ込んでも仕方がないとは思うのですが。

イルカ肉に水銀が多く含まれているのは事実

 なにはともあれ、イルカ肉の水銀汚染は、日本にイルカ肉を食べる地域がある以上、とても重要な問題です。生態系の中で、上位にいるイルカのような生き物は水銀をはじめ、有害物質を体の中に蓄積しやすいのです。その意味ではマグロも同じです。生態系の上位に位置し、長寿の生き物ほどリスクは高くなるのです。

 2008年、雑誌の「アエラ」が、国立水俣病総合研究センターに依頼して行った分析では、太地町で捕獲されたハンドウイルカの肉から、2.65ppmのメチル水銀が検出されました。厚生労働省が示している汚染の暫定基準では、メチル水銀0.3ppm、総水銀で0.4ppmまでですから、実にその8.8倍にも達したことになります。また、ハンドウよりも大型で寿命も長いマゴンドウの場合、11.6ppm、基準の39倍にもあたる肉が売られていたことも分かりました。

 ちなみに、魚類の中で、メチル水銀濃度が高く、要注意とされるインドマグロやクロマグロは、それぞれ1.08ppm、0.81ppm(平成15年厚労省「水銀を含有する魚介類等の摂食に関する注意事項」)と想定されていますので、鯨類(というか、ハクジラ類)の突出ぶりがご理解いただけると思います。

 さらに、同じ国立水俣病総合研究センターが2009年9月から2010年2月にかけて太地町の1137人を対象に行った調査では、人体の水銀蓄積についての標準的な手法である毛髪水銀濃度検査で、太地町民から139ppmもの純水銀が蓄積されている例が見出されました(毛髪検査では、メチル水銀ではなく水銀総量で評価するのが標準的なようです)。これは、日本人の平均とされる2ppmの約70倍にあたり、かつての水俣病患者の毛髪から検出された「100~700ppmの毛髪水銀濃度」の域に達しています。

 また、WHO(世界保健機構)が「神経疾患が出かねない」とする基準値50ppmを超えた人が43人もいたそうです。今のところ、太地町で調査の対象になった人たちから神経疾患は見出されていないということなのですが、非常に心配な状況であることは間違いないと言えます。イルカ肉を常食している地域では、今後も調査を継続すべきでしょう。

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川端 裕人
川端 裕人(かわばた・ひろと)
ノンフィクション作家・小説家。1964年生まれ。日本テレビ記者を経て、1995年にノンフィクション作家としてデビュー。著書に『イルカとぼくらの微妙な関係』(時事通信社)、『クジラを捕って、考えた』(徳間書店)、『ペンギン大好き!』(新潮社)などのノンフィクション作品、『算数宇宙の冒険』(実業之日本社)、『(1)嵐の中の動物園三日月小学校理科部物語』(角川つばさ文庫)などのフィクション作品がある。
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