キングジムの「ポメラ」は、コンパクトなのにしっかりキーボード入力ができるデジタルメモツールです。液晶モニターは備えていますが、パソコンのようにカラーで大きなものではなく、モノクロの4インチ。画面が小さい分だけ本体も小さく、少し分厚い文庫本といった大きさ。女性のコンパクトなバッグでも、無理なく持ち運べるサイズとなっています。
「ポメラ」が画期的なのは、こんなに小さいのに折りたたみ式の本格的なキーボードを備えていて、モバイルパソコン並みに快適なキーボード入力ができる点。キーの中心点から隣のキーの中心点までの間隔を示す「キーピッチ」は、ネットブックとほぼ同じ約17mm。小さくてもしっかり、タッチタイピングをすることができます。
ただし「ポメラ」でできるのは、テキストを入力することだけ。漢字変換辞書にはパソコンでおなじみのATOKを備えるなど本格的ですが、ブラウザやメールなど、インターネットにつながる機能は一切ありませんし、もちろんOfficeなどのソフトも使うことができません。そういう意味ではパソコンよりも、ひと昔前のワープロに近い製品だと言えます。
ではなぜ、パソコンがあふれるこの時代に、前時代のワープロのような機能しか持たない「ポメラ」が、ヒット商品となったのでしょうか? その答えは「手軽さ」にあると私は思います。
パソコンを使って文字を入力するまでには、パソコンを起動してメモ帳などのソフトを開いてと、意外に手間と時間がかかります。その点「ポメラ」は、電源オンからわずか2秒で起動。しかも単四電池で約20時間、最新機種の「DM5」では約25時間もの長時間使用ができます。いつでもどこでも、書きたいときにさっと取り出して使えるからこそ、「デジタルメモ」だというわけです。
もちろん、書きたいときにさっと書ける手軽さという点では、紙のメモに勝るモノはありません。実際にアポイントやこれからやらなきゃいけないこと、頭に浮かんだアイデアをメモするために、手帳やノートを持ち歩いている人はたくさんいますし、私もそのひとりです。ただ普段からパソコンのキーボード入力に慣れていると、ときどき「このメモは、手書きするよりキーボードで入力した方が早いな」と思ってしまうことがあります。
たとえば、会議やセミナーなどで、たくさんメモをとらなきゃいけないとき。手書きメモだと、内容をきちんと整理しながら丁寧に書こうとすると時間がかかりますし、かといって急いで殴り書きすると(これは、私が悪筆だということも多分にありますが)あとから読み返せなくなって、メモとしての役割を果たせなくなります。
その点、キーボード入力ができるデジタルメモなら、長文も素早くラクに入力できる上に、前後の文を入れ替えて、簡単にまとめていくことができます。素早くしかも整理しながらメモがとれるのは、デジタルならではのメリット。私の場合は特に仕事柄、パソコンでキーボード入力しながら頭を整理するクセがついているので、断片的なアイデアをメモしてまとめるのにも、やはりデジタルメモが便利だと感じることが多いです。
長文を素早くメモできる、入力した文を入れ替えて整理できる以外にも、デジタルメモのメリットはあります。それは、あとからキーワード検索ができること。どこに書いたのかわからなくなっても、紙のメモのように何度もページをめくる必要はありません。必要な情報を素早く探し出せるのは、まさにデジタルの最大のメリットと言えるでしょう。




