暴君な上司に不満を抱えている人に見てほしい映画が「ファッションが教えてくれること」(11月7日公開)。世界一読まれているファッション誌である米国版「VOGUE(ヴォーグ)」のアナ・ウィンター編集長に密着取材したドキュメンタリー映画だ。あの映画「プラダを着た悪魔」に登場する鬼編集長のモデルになったウィンター氏の仕事ぶりは、仕事とおしゃれの両方に目を見開かせてくれる。
ファッション界でウィンター氏はもはや伝説だ。例えば、彼女が起用するまで、ファッションモデル以外の芸能人、著名人はファッションアイコンではなかった。スーパーモデル・ブームの陰りを誰よりも早く見越して、いわゆる「セレブリティー」をファッションリーダーに仕立て上げたのは、彼女と「ヴォーグ」だった。
1万ドル(約100万円)もする「クリスチャン・ラクロワ」のTシャツに、50ドル(約5000円)のデニムを組み合わせ、「ハイ&ロー」のミックスコーディネートを提案したのも、ウィンター氏の有名な仕事。今では世界に広がったミックスコーディネートに道を開いた、勇気ある決断だった。
ウィンター氏の仕事を見て驚くのは、自分自身の編集方針をはっきり持っているところ。一般にはファッション誌はデザイナーやブランドが打ち出した新流行を紹介するものだと思われている。実際、ほとんどのファッション誌は流行を追い掛けている。自分たちが服を作るわけではないのだから、当たり前の話ではある。だが、彼女は明確な方向性を持って部下を指揮し、雑誌をまとめ上げていく。
決断力が乏しい上司に苦労している人はそのリーダーシップを見てうらやましく感じるかも知れない。しかし、もちろん、現実はそう甘くはない。だって、彼女は「プラダを着た悪魔」なのだから。



