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ウーマンズ・チェンジメーカーズ

途上国から世界に通用するブランドを発信
マザーハウス 山口絵理子さん

2009年10月28日

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 「途上国のイメージを変えたい」

 そう力強く語るマザーハウス代表取締役社長、山口絵理子さん。今年、28歳。バングラデシュ産のジュート(麻)で作ったバッグを現地生産、日本国内で販売する会社の経営者であり、デザイナーでもある。小柄でかわいらしい雰囲気と、彼女率いるマザーハウスが創業3年で成し遂げてきたことのインパクトには少なからずギャップがある。小売り不況の中、売り上げは右肩上がり。2010年度は約4億円の売り上げを見込む。直営店は6店舗になり、ソニースタイルやエイチ・アイ・エスなど、有名企業とのコラボビジネスも展開。話題の女性起業家の一人だ。

9月に新装開店したばかりの入谷本店(東京・入谷)にて。店舗は今までの約2倍の広さになった

 「優しさと強さが同居している人」。副社長として創業期から山口さんを支えてきた山崎大祐さんは語る。「非常に正直で人間的な部分がある一方で、厳しい姿勢で結果を求めるクールさも兼ね備えている」

 「途上国イコール『安いモノを作る』『原材料を供給する』場所じゃない」と山口さんは言う。「先進国の人たちも『かわいい』や『カッコいい』モノへの需要に応える高品質・高付加価値の商品を作ることだってできる。イメージの転換が、モノの流れや人の流れを変える力になると信じています」

バングラデシュ原産のジュート(麻)を使ったバッグ。ナチュラルなテイストが幅広い層から人気を集める

 「社会を変えたい」という想いの源泉は、小学生時代の壮絶ないじめ体験にまでさかのぼる。その反動で中学では非行に走った。学校や教育に対する不満や疑問を抱いて大学入学。小泉純一郎内閣で経済財政政策担当大臣や総務大臣兼郵政民営化担当大臣などを歴任した、竹中平蔵氏のゼミへ。

 「入ゼミ試験で、開口一番“総理大臣になって世界の教育を変えたい”と言っていたのが印象的でしたね」と山崎さんは当時を振り返る。二人はゼミの先輩と後輩の間柄だ。「ただ、当時は強い思いを持つ一方で、それをどういう手段で実現したらいいのか、良いアプローチが見つからず、とても苦しんでいたように思います」

9月に立ち上げた新ブランド「マイティガル」。ネパールの伝統工芸「ダッカ織り」を用いている

 転機になったのが、大学4年生で経験した国際機関でのインターンだった。ワシントンでの短期勤務で見えてきたのは、途上国の現状とかけ離れた支援の形。「途上国の現実をこの目で見たい」。そう考えて、アジア最貧国のひとつ、バングラデシュへ。結局、現地の大学院で開発学を学び、ジュートという素材と出合って24歳でマザーハウスを設立した。

 今年9月にはネパールの伝統工芸「ダッカ織り」を用いた新ブランドもスタート。しかし、これまでの道のりは決して平坦だったわけではない。バングラデシュで、あるいはネパールで裏切られた経験、失望した経験は一度や二度ではない。仕事を依頼していた工場へ朝行ったらもぬけの殻だったということもあるし、パスポートを盗まれたこともある。活動を快く思わない現地の人から脅迫まがいの行為をされたこともある。それでも途上国でのビジネスをあきらめなかったのはなぜなのか。「それは、バングラデシュの人たちから学んだことが大きい」と山口さん。「バングラデシュで目にしたのは、食べ物も飲み物も十分ではなく、政治的なデモで日常生活を妨害されながらも、人々がただただ、必死に生きている姿。その姿を見ていたら、悩んで立ち止まることが無意味に思えて…生きていく強さのようなものを教えてもらいました」

ネパールのダッカ織りの工場。女性たちが手早く織っていく

 今は結婚も出産も「全然考えていない」ときっぱり。ショッピングをしていても自然とバッグを見てしまうし、美術館に行っても無意識にバッグのデザインのヒントを探している。けれど、「今が一番楽しい」という。「起業後、一人で悪戦苦闘していた頃と違って、今はお客様も仲間もいますから。これから何が起こるんだろうというワクワク感のほうが強いです」

 ネパール発の新ブランドも立ち上げた山口さんの新たな挑戦に期待したい。

バングラデシュの自社工場のメンバーたちと。雇用する現地スタッフは20人にのぼる
Profile
やまぐちえりこ
やまぐちえりこ
81年埼玉県生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒業後、バングラデシュBRAC大学院で開発学を学ぶ。「必要なのは、施しではなく、先進国との対等な経済活動」との想いから、06年マザーハウスを起業。バングラデシュ産のジュート(麻)や、ネパールの伝統工芸「ダッカ織り」を用いたバッグを現地生産、日本国内で販売中。創業期からの奮闘をつづった著書『裸でも生きる』『裸でも生きる2』(ともに講談社)も話題
http://www.mother-house.jp/

取材・文/田中美和 写真(山口さん)/小林キユウ

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