ウワサ◆その7 長年飲み続けるとお酒に強くなる

答え 半分ホント

 お酒の強さは、体の中でアルコールが代謝されてできるアセトアルデヒドを代謝する能力の高さ(活性型、低活性型、非活性型)によって決まる。活性型の人は飲んでもすぐに赤くなることはなく、非活性型の人はほとんどお酒を飲めない。

 このうち、低活性型の人は、お酒を飲んでいるうちに、だんだんと酒量を上げても酔いにくくなってくる。つまり、「トレーニングで強くなる」わけだ。これは、飲酒を続けるうちに、肝臓でのアルコールの代謝速度が速くなっていくのが一つの理由だが、それに加え、脳のアルコールに対する反応のしやすさが変化することも影響している。つまり、脳の神経がアルコールに順応し、アルコールの酔いに対する耐性が上がるのである。

 こうしたアルコールに対する反応のしやすさは、アセトアルデヒドを分解する酵素以外の遺伝的な影響も大きいとされている。活性型の人(顔が赤くならない)でも、すぐに酔ってしまう人がいる一方、赤ら顔なのに大量に飲んでもケロッとしている人がいるのはこのためだ。

 なお、アルコールに反応しにくく、若い頃から酒に強い人は、逆にアルコール依存症のリスクが高いといわれているので注意が必要だ。

プロフィール
中野里美
三菱UFJニコス統括産業医
中野里美(なかのさとみ)さん
1990年、東京女子医科大学卒業後、慶応義塾大学医学部内科学教室に入局。都立広尾病院などを経て、2007年より三菱UFJニコスの統括産業医として社員の健康管理を行っている。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本医師会産業医、労働衛生コンサルタント。

狭間研至
医師、ファルメディコ代表取締役社長
狭間研至(はざまけんじ)さん
1995年大阪大学医学部卒業後、大阪大学医学部付属病院、大阪府立急性期・総合医療センター、宝塚市立病院で外科、呼吸器外科医として診療に携わる。現在は、思温北クリニックで在宅医療に取り組むとともに、調剤薬局グループファルメディコの代表取締役社長を務める。薬剤師あゆみの会、日本在宅薬学会理事長。

日経Gooday「酔わない飲み方、7つのウソ・ホント」を転載