がん経験者が「ひとりじゃない」と感じられる場所を

アフラック新規事業推進部tomosnote開発チーム所属のみなさん。左から力石文世さん、天野友貴さん、友岡将さん、阿萬和弘さん、田中麻衣さん、冨田隆行さん
アフラック新規事業推進部tomosnote開発チーム所属のみなさん。左から力石文世さん、天野友貴さん、友岡将さん、阿萬和弘さん、田中麻衣さん、冨田隆行さん

 この9月から、がん経験者をさまざまな側面から支援するためのアプリ「tomosnote」がスタートした。このアプリを立ち上げたのは、がん保険でおなじみの保険会社であるアフラック。

 1974年に日本で初めてがん保険を発売して以来、幅広いがん啓発活動やがん対策に取り組んできた同社が、2015年に保険だけでなくアフラックとして新たに始めるべき事業があるはずだと社内でアイデアを募集し、経営企画部が中心となってスタートさせたプロジェクトだ。2016年にはいくつかあるアイデアの中から、がん経験者の支援プラットフォームを作ることが決定となり、全社さまざまな部署から開発を志すメンバーが集まった。

 当時、広報部で社会貢献活動を担当していた天野さんは、患者団体、NPO、公益財団等と共にがん経験者の支援活動に取り組むなか、「患者団体や支援団体と接点のない経験者同士が、もっと身近につながることができないか」と考えていたため、このプロジェクトの立ち上げを聞いたときは使命感に燃えたと微笑んだ。同じく広報部に所属していた力石さんは、「弊社がブランドプロミスとして掲げる、お客様の“『生きる』を創る”を実践するため、今私たちに何ができるのか何度も時間をかけて話し合ってきたものがやっと形になったうれしさがある」としつつも、「これからも常にPDCA(計画・実行・評価・改善)を回し続けてより良いものにしていかなければいけないプレッシャーも同時に感じている」と語った。

 保険金部にいた田中さんは、実際にがん経験者のお客様から給付の連絡を受け、直接話をする機会が多かった。「がんになりましたが、どうしましょう」「夫ががんになりました。どうしたらいいですか」といった不安な声を聞いていくうちに、がん経験者のためにできることをしていきたいという気持ちが強くなっていったという。

 阿萬さんは自身ががん経験者ということもあり、メンバーの中でもっともがん患者の気持ちに寄り添うことができる人だ。「がん経験者として半歩先をいく自分の経験が、これからがん治療に臨む人たちに役立てられるんじゃないか」というのは、このプロジェクトを完成させるのに欠かせない想いだ。

 システム開発を担当している冨田さんは転職組。アフラックの「生きるを創る」に共感し、がん経験者のためのより良いサービスを作り出すことにやりがいを感じている。「サービスに完成はない。これからもがん経験者の声を聞き続け、機能の改善や追加をクイックに実現していきたい」と語った。

 それぞれの部署でがん患者に関わってきたメンバーがアイデアを持ち寄り、がん患者に必要な情報が手に入るプラットフォームを目指して試行錯誤の毎日を過ごすこと2年。その間、がん経験者でも加入できる新商品に関する意見を聞いたり、代理店向けの講師をお願いしたりしていた桜井さんにも、がん経験者としてのアドバイスをもらっていたという。桜井さんをはじめとしたがん患者団体へのヒアリングやワークショップ、がん経験者の方々への個人インタビューも複数回行い、丁寧に意見を拾い上げた。はじめは取り入れていなかった“記録する”機能を構想に加えたのも、桜井さんや、その他がん経験者の声を取り入れた結果だ。こうして、2018年にtomosnoteは完成へとたどり着いた。

 「我々のチームはCSR(企業の社会的責任)という考え方ではなく、CSV(共有価値創造)という考え方で社会的価値を創出しながら、がん経験者支援とアフラックを共に成長させていく必要があります」と友岡さん。

 保険会社単独ではこの目標を解決することは難しいが、同社のコアバリューに共感するいくつかの企業から協創したいという返答がすでにあったという。他者とつながり記録するためのコミュニティは、継続していけるかが需要なカギとなるが、tomosnoteであれば長い期間にわたってがん経験者を支援する場となってくれるに違いない。

がん経験者コミュニティ「tomosnote」とは?

 がん経験者コミュニティアプリの「tomosnote」がいよいよこの9月からサービスを開始。この開始にあわせて、ブランドムービー『「ひとりじゃない」と感じられる場所を。』も公開されている。

ブランドムービー『「ひとりじゃない」と感じられる場所を。』のワンシーン。はじめは一人一人が異なる番号のゼッケンをつけてただ走るだけだったのが、共に走る仲間を見つけ、ひとりではないと感じられるようになる。詳しくはこちら

 このムービーでは、何の前触れもなく突然やってくる「がん」という病気の治療の道のりを、スタートラインのないマラソンに例えている。ゼッケン番号は、年間のがん罹患者数と同じ規模の桁数。心の不安を持ちつつも人生を走り続けるがん患者が、その道のりの中で同じように走るランナーと次々に出会うことで、がん患者が決してひとりではないということを表現。「tomosnote」を通じてがん経験者同士をつなげ、心の支えになるような場にしたいという想いが込められている。

 「tomosnote」の目的は、がん経験者の支援。治療中も治療後も、充実した人生を歩むために必要なさまざまな支援サービスをがん経験者の目線に立って、利用しやすい形で提供していくことを目指して開発されている。

 機能は「仲間を見つける」「記録する」「情報収集する」の三本柱。がんを経験した人が自分の状況に近い人を見つけたり、想いや経験をつぶやく場をつくったりすることを通じて、がん経験者やその家族の支えあえる仲間を見つけるサポートをするほか、日々の体調などの記録を主治医との情報共有に活用することでコミュニケーションを円滑にすることを目指す。医療従事者やがんに関する知見を有する企業からの有益な情報も参照でき、アプリの利用者は生活・仕事・お金などの相談も将来的に可能になるが、まずは「仲間を見つける」「想いや経験をつぶやく」といった機能からスタートし、サービスを順次拡大させていく予定だ。

tomosnoteのトップ画面。がんの部位や年代、家族構成、仕事の状況など、自分のプロフィールに近しい利用者が表示されるため、自分が情報交換をしたい、しゃべってみたい相手とすぐにつながることができる。また、やわらかな配色で明るい気分になるよう配慮したほか、仲間がたくさんいることを感じられるデザインになっている
tomosnoteのトップ画面。がんの部位や年代、家族構成、仕事の状況など、自分のプロフィールに近しい利用者が表示されるため、自分が情報交換をしたい、しゃべってみたい相手とすぐにつながることができる。また、やわらかな配色で明るい気分になるよう配慮したほか、仲間がたくさんいることを感じられるデザインになっている

協力/アフラック