アレルギー原因物質がコンタクトレンズに積もる

 例えば、スギの花粉はカプセル状のものだと考えると分かりやすい。花粉そのものはコンタクトレンズに付着しにくい。

「花粉が目に入り、涙でぬれて、カプセル状のものが破れると、中からアレルギーの原因物質(花粉抗原)が出てくる。これはたんぱく質の一種で、炎症やかゆみの原因となる。この花粉抗原がコンタクトレンズによって『つきやすい』ものと『つきにくい』ものがあることが実験で確認されている」(院長)

 その差を生み出しているのが、コンタクトレンズ表面のなめらかさと素材が持つ電気的な特性(イオン性か、非イオン性か)ではないかという。

「服の布地と同じで、ウールのようにザクザクしたものよりも化学繊維のようにツルッとしたレンズ素材の方が花粉がついても残りにくい。また、花粉抗原は電荷を帯びているが、非イオン性のコンタクトレンズの方がこれらを引き寄せにくい」(院長)

 一度コンタクトレンズにたんぱく汚れがついてしまうと、そこを足掛かりに花粉抗原がつきやすくなっていく。この汚れを自宅でキレイに落とす。

「コンタクトレンズの洗浄液にも良い製品はあるが、目が敏感になっているときに、刺激になる成分はできるだけ避けたい。花粉が飛ぶ季節だけでも汚れが蓄積しない、そして洗浄液を使用しなくて済む1日使い捨てタイプにするとよい」。また、「一般的には花粉症患者の多くがドライアイを発症している割合が高いと言われることから、乾きにくい特長を持ったコンタクトレンズを選ぶこともおすすめしたい」(院長)

涙が蒸発するまでの時間(BUT値/涙液層破壊時間)を調べ、季節性のアレルギーがある人とない人で比較した。その結果、アレルギーのある人の方が涙の状態が不安定でドライアイ傾向にあることが分かった。
涙が蒸発するまでの時間(BUT値/涙液層破壊時間)を調べ、季節性のアレルギーがある人とない人で比較した。その結果、アレルギーのある人の方が涙の状態が不安定でドライアイ傾向にあることが分かった。
Suzuki S, Goto E, Dogru M , et al. Tear film Lipid Layer Alterationsin Allergic Conjunctivitis. Cornea Vol 25(3). 277-280. April. 2006から抜粋改訂。

数日つけてみないと本当の相性は分からない

 眼科医に相談したいときは、今使っているコンタクトレンズを、できれば数時間使用した後にそのまま受診するといい。

「靴にも『履いたときは良かったが、夕方になったら小指が当たって痛い』ということがあるように、コンタクトレンズの装着感や汚れ具合も時間で変わる。長時間使用しても快適に入れていられるようにしてあげたい」(院長)

 また、新しいコンタクトレンズに切り替えるとき、慣れから「前の方がつけ心地が良かったかな」と思うこともあるそうだ。

「そこで前のコンタクトレンズに戻してみると『あれ? こんなだっけ? 新しいコンタクトレンズの方がよかったんだ』というのもよくある話」だと植田院長は語る。