Q1 ジカウイルス感染症とは?

 ジカウイルスは1947年にウガンダのZika forest(ジカ森林)のアカゲザルから発見されたウイルスです。ジカウイルス感染症はジカウイルスを保有するヤブカ属のネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることによって発症する蚊媒介性感染症の1つです。2014年に東京を中心に発生したデングウイルス感染症も、蚊に刺されることによって感染します。

 最近、蚊に刺されるだけでなく、性的接触によって感染する可能性が指摘されました。いずれもジカウイルスに感染した男性から女性への感染です。精液に最低2週間から10週程度までウイルスが残存し、性的な接触によって感染した3例が米国から報告されています。

国内でも生息するヒトスジシマカのメス。ジカウイルスを媒介する。
国内でも生息するヒトスジシマカのメス。ジカウイルスを媒介する。
ネッタイシマカ(出典:国立感染症研究所ホームページ)。
ネッタイシマカ(出典:国立感染症研究所ホームページ)。

Q2 どんな国で流行していますか?日本での感染者は?

 これまでミクロネシア連邦のヤップ島、フランス領ポリネシア(タヒチなど)、チリのイースター島などで発生してきましたが、2015年5月以降、中南米を中心に流行が起きています。米疫病対策センター(CDC)によれば、米国内での蚊を媒介にした感染は報告されていませんが、2月3日時点で該当地域への旅行による感染が35例、報告されているといいます。

 これを受けて中南米との交流が密な米国では、国内外への波及を懸念しています。熱帯地域では蚊が1年中生息し、1年中感染が起こるため、感染のコントロールが難しくなります。冬がある国であれば気温の低下に伴い蚊が一旦死滅するため、持続した感染が起こりにくくなります。

 日本では現在までに、3例のジカウイルス感染症が国際医療研究センターから報告されています。2例は2013年12月にタヒチのボラボラ島、1例は2014年7月にタイのサムイ島へ旅行していた成人です。いずれもビーチリゾートで蚊に刺されたことにより感染しました。

※中南米ではブラジルでは21州で発生が報告されているほか、バルバドス、ボリビア、コロンビア、プエルトリコ、コスタリカ、キュラソー、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、フランス領(クアドループ、セント・マーチン、ギアナ、マルティニーク)、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、スリナム、アメリカ領ヴァージン諸島、ベネズエラ
※太平洋・オセアニア地域では、サモア、アメリカ領サモア
※アフリカではカーボベルデ

■出展:CDC website