言葉が曖昧だとゴールも曖昧になる

 なぜ「数字で」「具体的に」定義付けをするかにこだわるかというと、私自身、曖昧な目標を立てて失敗を続けてきた過去があるからです。私は過去に、「バリバリ仕事ができるビジネスパーソンになりたい」と思っていました。

 「バリバリ」=曖昧。「仕事ができる」=曖昧。「ビジネスパーソン」=曖昧。曖昧の三つどもえです。ボンヤリとしたゴールしか描けないため、何をどうがんばったら到達するかがまるで分からず、いくら努力しても目標に近づいている実感が湧きませんでした。人は、先が見えないものに対してモチベーションを維持し続けることができないのです。これが「手帳を使いこなせない」問題の根っこなのではないでしょうか。

達成率は8割でOKとゆるく考えてみる

 手帳は1週間単位、1カ月単位で区切られているものが多いですよね。1週間、1カ月という区切りは振り返るのにもちょうど良い単位です。

 最初から完璧に決めた計画を達成させようと思うと、たった1日思い通りにできなかっただけで「もういいや」とあきらめがちになるので、まずは8割達成でOK、といったようにゆるい感じではじめてみましょう。

 1週間頑張って、万が一できなくても土日で追いつけるくらいの量に決めるのがモチベーションを維持するポイントです。これなら、「平日が無理でも土日がんばろう!」「今週が無理でも来週はがんばろう!」といったようにやる気を途切れさせることがなくはじめることができますよ。まずは1週間単位でやってみることをおすすめします。

 自分の道を信じられないのは、信じるしかないところまで徹底的に考え抜いていないからではないでしょうか。目標をなんとなく想像するだけに終わらせず行動に移すためには、手帳を通じて実現する未来を徹底的に分析してみましょう。

 これを最初にしっかり考えておくと、一歩足を踏み出したときに、今自分がどこを歩いているかが分かるようになりますし、「これを続けていれば前に進んでいける」という実感が持てます。逆に言うと、徹底的に考えていないから「どうせ無理だ」と思考停止に陥ってしまったり、「頑張っているのになかなか憧れの人に近づけないなあ」とあきらめてしまったりしてしまうのです。

 あなたなりの「使いこなす」の定義づけ、ぜひ考えてみてください。

 ※第4回「ぼんやりとした希望的観測は、書き出してリアルな予定に変えていこう」は明日1月7日の配信です。

プロフィール
池田千恵
株式会社 朝6時代表取締役
池田千恵(いけだ ちえ)
朝の時間を活用した思考整理/情報発信/時間管理/目標達成手法を著書や講演、企業研修などで伝えた経験をもとに、経営戦略としての朝活用を支援する、「株式会社 朝6時」を創業。企業や自治体に朝型勤務導入コンサルティングを行っている。ベストセラーとなった『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』(マガジンハウス)は、朝4時に起きる「ヨジラー」急増のきっかけとなる。『「ひとり時間」で、すべてがうまく回りだす!』(マガジンハウス)、『朝活手帳』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など時間管理、手帳術に関する著書多数。