おにぎりは、様々なシーンで大活躍する最高のフィンガーフード。おうちパーティーのシメの一品としても、重宝する。では、シンプルな「塩おにぎり」を最もおいしくむすぶポイントは…。一般社団法人おにぎり協会における塩の担当、また日本ソルトコーディネーター協会の代表を務め、おいしい塩おにぎりを追求している青山志穂さんの話を聞いた。

 炊きたてのご飯を塩おにぎりにしてかぶりつく幸せ。ごはんと塩、海苔(のり)のシンプルな組み合わせが基本だが、ちょっとしたコツを押さえるだけで、格段に塩おにぎりが美味になります。一般社団法人おにぎり協会で塩を担当し、日本ソルトコーディネーター協会の代表理事・青山志穂さんに、簡単にできる塩おにぎり術をうかがった。前編・後編の2部構成でお送りします。(聞き手・構成は須田康成)

一般社団法人おにぎり協会で塩の担当をし、また日本ソルトコーディネーター協会の代表理事でもある青山志穂さん
一般社団法人おにぎり協会で塩の担当をし、また日本ソルトコーディネーター協会の代表理事でもある青山志穂さん

お米は軟水で炊くとふっくら仕上がる

 おにぎりを作る時、まずは、米を選ぶところからですよね。原宿にある創業80年を超える小池精米店の三代目で、お米マイスター五ツ星でもある小池理雄さんに聞いたのですが、どんなお米でも、粒がそろっていて、精米してから時間が経っていない鮮度のよいものを選ぶのがオススメだそうです。なので、案外、昔ながらの街のお米屋さんに通ってみると良いかもしれませんね。

 お米を炊く際に気をつけたいのが、水です。水道水とミネラルウォーター(または浄水器を通した水)で米を炊き比べると、明らかに炊きあがりの味やふくらみが変わります。

 また、ミネラルウォーターでも硬水は米粒を堅くするので、あまりオススメしません。ミネラルウォーターの成分表示の欄には、水の硬度が表示してあります。硬度というのは、1000ml中に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を表す数字なんです。

 お米は、おいしい軟水で炊くのがオススメです。

軟水の成分表示の例。硬度のところに「軟水」とある
軟水の成分表示の例。硬度のところに「軟水」とある

 お米の炊き方ですが、前述の小池さんによると、今の精米機は昔と比べて性能が良くなっていて、ほどよく精米されているので、お米を研ぎすぎないことが大事なんだそうです。5本指のすき間を空け、軽くかき混ぜるようにして洗い、3~4回洗ったら、透明になっていなくてもそれでいいそうです。ポイントは、洗米1回目の水は、手早く捨てること。お米の汚れがまた米の中に戻らないようにするためです。

 炊き上がったら、すぐに、しゃもじで切るようにして上下をひっくり返すことが大切です。時々、しゃもじでご飯を練るようにする人がいますが、あれは米粒がつぶれてしまうので絶対にやめてください。

 いよいよ、手に塩をつけて握る段階に入ります。一般社団法人おにぎり協会の代表・中村祐介氏によると、おにぎりをおいしく握る極意は、以外にも、握らないことなんです。ふんわりとまとめる程度で、決してぎゅうぎゅうとは握らず、あくまで軽く優しく「まとめる」程度が良いそうです。

 それでは、いよいよ塩の使い方についてお話しします。