<ケース3>
分譲でも賃貸でも起きうる一番身近なトラブル! 隣人の騒音問題

 これは、もっともよくあるトラブルといえるでしょう。

 ずっと憧れていた素敵なマンション。立地も最高、間取りも素敵。ここから新しい生活が始まっていく……。そう夢を描くあなたに突如として降りかかる悪夢「隣人の騒音問題」。階上の足音がうるさかったり、夜中のテレビ音がうるさかったり…。契約前には確認ができない問題が、住宅には潜んでいます。

 では、そのようなトラブルに遭遇した場合、どのように対処すればいいでしょうか。

*その1
一人で悩まずまずは相談! 家主、もしくは管理会社へ相談しましょう。

 「相談したら、更にトラブルになるのでは?」そう思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、隣人トラブルに関しては相談者が特定できぬよう[掲示板や各戸のポストに「このような方がいらっしゃいます」という注意喚起の紙を掲載・投入する]といった全戸に向けた対処方法が一般的です。

 ですので、まずはお気軽に家主、管理会社へ相談して頂くことをお勧めいたします。

 それでもおさまらない場合には、再度、家主・管理会社側へ相談をして騒音主のみに注意喚起をしてもらうことも可能です。

*その2
それでも収まらないときには、弁護士に依頼して解決を図る、という方法があります。

 その場合には、事前に騒音計で騒音レベルを調べて提示することをお勧めいたします。今は騒音の計測ができるような携帯アプリもありますので、インストールして計測することも可能です。ここまで来れば、法的なトラブルに発展する可能性もありますので、まずは証拠を押さえることが大事になります。

 弁護士への相談後、必要に応じて、本人名または代理人である弁護士名で、隣人へ注意警告の内容証明を送ることになるケースが多いです。

 たいていのトラブルはそこまでいけば収まるものですが、それでもダメな場合には、最終手段として訴訟提起をする方法もあります。

 騒音が原因となって実際に不眠症などの健康被害が出ていると認定された場合には、引越し費用や慰謝料を賠償請求できるときもあります。

 隣人は近くて遠く、また分かっているようで分からない存在。自分の身を守るためにも、自分も騒音を起こすなどの「倍返し」の手段に決して出ないよう、冷静に対処しましょう。



 以上、住宅に関してよくあるトラブルをご紹介しました。住宅に関するトラブルは、いつどこで起こりうるか予測ができないものです。明日我が身に降りかかってくるかもしれないこれらの住宅トラブルを、どのように未然に防いでいけばいいのか、次回ご紹介します。自分の身は自分で守れるよう、しっかりと知識を増やしましょう!

プロフィール
資格スクエア代表 弁護士 資格カタリスト
鬼頭政人さん
1981年生まれ。開成⇒東大⇒司法試験に一発合格。都内弁護士事務所、政府系投資ファンドを経て、2013年12月に起業、資格試験のオンライン対策サイト「資格スクエア」を立ち上げる。「司法試験、司法書士、行政書士、宅建士といった難関法律資格に強みを持つ。」資格試験を通じて仕事に誇りを持って働く人を増やしたいと考え、受験生に勉強法や受けるべき資格を指南。著書に『頭のよさとは「ヤマを張る」技術のことである』(中経出版)。