日本酒には米と合う塩を、白ワインにはミネラル豊富な塩を

 日本酒好きの多い編集部が聞きたかったのは、やはり、日本酒に合う塩のこと。

 「日本酒は原料が米なので、基本的には米と合う塩を選びますが、日本酒の旨味を引き立てる塩は、しょっぱさが強すぎず、ややまろやかで、口の中にある程度旨味が残るタイプです」

 今回、青山さんが選んだのは、沖縄県うるま市の「浜比嘉(はまひが)塩」と与那国島の「蔵盛さんちの塩」。浜比嘉塩は、昔ながらの流下式塩田という製塩方法で自然の力だけでつくった塩。蔵盛さんちの塩は、黒潮を直接くみ上げてつくる塩。どちらも、まろやかで旨味の豊かな塩。

 2種類の塩を交互に舐めながら、キュッと冷えた辛口の日本酒を飲ってみた。

 どちらの塩も舐(な)めたあとで日本酒を口に含むと、酒の華やかな味わいがさらに膨らむのを感じた。相性抜群とは、このことだろう。もちろん、塩そのものでなくても、肴(さかな)に使う塩を、この塩に変えてみるのも良いに違いない。

 続いて、白ワインと合う塩について聞いてみた。

 「白ワインだと、種類にもよるのですが、塩もナトリウム以外のミネラルを豊富に含んだタイプを選びます。白ワインは、赤ワインに比べて後味がすっきりしたものが多いので、ある程度、キレのいいタイプの塩との相性が良いですね」

 白ワインにと選ばれたのは、新潟県村上市の「玉藻塩」と能登半島の北端、石川県輪島の「わじまの海塩」。玉藻塩は、自然海岸「笹川流れ」の水からつくった自然塩に、玉藻のエキスを加えたヨード分たっぷりの塩である。笹川流れは、国の名勝天然記念物に指定されている。一方のわじまの海塩は、輪島から50Km沖にある舳倉島(へぐらじま)の海水を、時間をかけて低温で結晶させた塩。

 2種類の塩で冷えた白ワインを飲ってみた。もちろんバッチリ。この塩を使った魚介のマリネなどとの相性は抜群に違いない。

 「塩の種類は多いですし、味の好みは人それぞれなので、一人でも多くの方に、塩とお酒のいろんな組み合わせを試して、楽しんでいただきたいです」

 今、塩は百貨店やスーパー、通販などで手軽に買える。しかも、値段が手頃なのがうれしい。

 お酒が美味しくなる、塩とのマリアージュ。気軽で、かなり楽しい大人の遊びである。

ウイスキーにはブラウンシュガーソルトやスモーキーな塩が合うという。
ウイスキーにはブラウンシュガーソルトやスモーキーな塩が合うという。

■参考Webサイト
日本ソルトコーディネーター協会 http://saltcoordinator.jp/

Profile
須田泰成
須田泰成(すだ・やすなり)
コメディライター/地域プロデューサー/著述家
1968年、大阪生まれ。全国の地域と文化をつなげる世田谷区経堂のイベント酒場「さばのゆ」代表。テレビ/ラジオ/WEBコンテンツや地域プロジェクトのプロデュース多数。著者に『モンティパイソン大全』(洋泉社)、絵本『きぼうのかんづめ』(ビーナイス)など。

(2015.08.06 CAMPANELLAより転載)

文/須田泰成、写真/栗栖 誠紀

CAMPANELLA[カンパネラ]
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