オススメ3◆『たそがれたかこ』(入江喜和)
 45歳・バツイチ女性の日常に、胸キュンの理由とは

 続いて、入江喜和さんの『たそがれたかこ』(講談社)です。主人公は社員食堂のパートタイマー、片岡たかこ・45歳バツイチ。何故か涙が止まらない夜に出会った居酒屋店主・美馬修平と、その周りの不器用な人たちとの交流を描いた魁作です。

 物語のイントロ…。たかこはバツイチで職場にもなじめず、少しボケが発生している母親と2人ぐらしで、灰色の生活をしているのですが、そこで色々な出会いがあり、最初はおっかなびっくり、けれど、徐々に青春の頃の気持ち、もう二度とは戻ってこないけれど、思春期の時の甘酸っぱい気持ちを思い出していくという描線です。

 作者の入江喜和さんが2巻あとがきで、「50歳がもう目の前という時に、一番青い話を描いてます。(中略)自分的には、恥ずかしくて描けなかった若い頃の気持ちを今よーやく、ちがう形でお見せしているよーな…へんなカンジです」と語っている通り、作者の好きなもの、好きなことが詰まっていて、読んでいて青春時代に戻ったような、胸がキュンとする作品です。普段忙しくて忘れがちな思春期の時のあの感覚。思い出したい人はぜひ!!

オススメ4◆『ちーちゃんはちょっと足りない』(阿部共実)
 自分には「何かが足りない」

 さて、この辺で別のお味を。阿部共実さんの『ちーちゃんはちょっと足りない』(秋田書店)なんていかがでしょう? 「このマンガがすごい 2015年度・オンナ編1位」も伊達じゃない、本当に面白いマンガです。成績、友達、お金…、いつも何かが足りない気がしている中学2年生のちーちゃんとナツ。普通の日常を送っていたある日、事件が起きます…。

 ちーちゃんは中学2年生なのだけれど、中身は小学生のようで、すぐにだだをこねるし、嘘をつくしで、色々 な騒動を巻き起こします。働く女性は普段、仮面をかぶって仕事をしている部分も多いと思います。このマンガを見たら、「こんなに素直に自分の感情を表に出してうらやましい」と映るのではないか、大人女子が、心を許した人限定で思わず真似したくなる、それがちーちゃんなのではないかと思います。とにかく小ネタが面白いので、ぜひご一読を。女友達にこの本をプレゼントしたところ、その友達から、学級文庫の如く色々な人の手に渡り、ワタクシの周りでちーちゃんのマネをする女子が続出したほど麻薬性の強いこの作品、おススメです。普段バリバリ仕事をしていて、気づけば精神的にも、経済的にも強くなりすぎてしまったあなた、彼氏や旦那さんに、たまにはちーちゃんのマネをして甘えてみるのもいいのでは?

オススメ5◆『私がモテてどうすんだ』(ぢゅん子)
 4人のイケメンに、都合よくモテまくる先は…

 最後におススメしたいのが、ぢゅん子さんの『私がモテてどうすんだ』(講談社)です。ワタクシは3巻まで読んで非常にイライラし、友達10人ぐらいにLineでこのマンガの悪口を言ったのですが、みなさんもお正月、このマンガの悪口を肴に日本酒を一杯なんていかがでしょうか?

 主人公はデブ・メガネのド級腐女子の芹沼花依。好きなアニメのキャラクターが死んでショックのあまり1週間寝込むと、何故か飛び切りの美女に変身し、そこに4人のそれぞれタイプの違うイケメン(先輩・同級生・後輩など)に、とにかく主人公が都合よくモテまくるという、あらすじを書くだにイライラする作品です。「主人公の外見が変わったことによって寄ってくる男とは、しょせん主人公の外見にしか興味がないんじゃないか? 大丈夫か? 花依」、と、男のワタクシでもついそんな突っ込みを入れたくなります。働く大人の女子からしたら突っ込みどころ満載の作品です。イライラしたい方はぜひ!

 今回ご紹介した作品は、それぞれ作者の脂が乗りきった傑作ぞろいですので、ぜひぜひ本屋さんへGOです。あ、ネットでも買えます。

 ところで、みなさんはマンガを枕にするなら何巻分がベストですか? わたくしはコタツで色々試してみましたが、4冊に座布団を敷くのがベストだと発見しました。異論は認めます。お正月、コタツやホットカーペットの上で、5冊ぐらいのマンガを読みながらまどろむ、そしてそのままマンガを枕にお昼寝。意識の遠くで箱根駅伝の実況が聴こえる、なんて、そんな一日を過ごしてみるのもいいですよね。せっかくのお正月ですし。