思いのほか、時間を持て余してしまう年末年始。「普段はなかなか読書をする時間が取れない」という人も、この機会に気になっていた本を手に取り。来年に向けて英気を養ってみては。2015年掲載の記事の中から、知識欲を見たし、視野を広げてくれる本を厳選して紹介します。

芥川賞受賞!お笑いタレント・ピースの又吉直樹さん初の中編小説

<b>又吉直樹</b><br> 80年大阪府生まれ。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。お笑いコンビ「ピース」として活動。経済番組『オイコノミア』(NHK)など、テレビ出演も多数。著書に『第2図書係補佐』(幻冬舎)、『東京百景』(よしもとブックス)など。5月には『芸人と俳人』(堀本裕樹 共著/集英社)が発売された。
又吉直樹
80年大阪府生まれ。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。お笑いコンビ「ピース」として活動。経済番組『オイコノミア』(NHK)など、テレビ出演も多数。著書に『第2図書係補佐』(幻冬舎)、『東京百景』(よしもとブックス)など。5月には『芸人と俳人』(堀本裕樹 共著/集英社)が発売された。

 お笑いの世界を舞台に、芸人同士の濃密な人間模様が描かれた小説『火花』(文藝春秋)。お笑いタレント、ピースの又吉直樹さんが書いた初めての小説は、239万部を突破するベストセラーとなった。

 又吉さんは、その反響の大きさに戸惑いながらも、「多くの人が小説に真っすぐ向き合ってくれたことが何よりうれしい」と言う。多忙なスケジュールの合間を縫って、3カ月で書き上げた。「書き進めるうちに、キャラクターが自由に動きだした。登場人物がアホ過ぎて、『俺がここにおったらアドバイスができたのに』と歯がゆく思うくらい。彼らがどんなアホをしでかすか、僕も書いていて楽しかった」

 『火花』は三島由紀夫賞の最終選考に残り、7月には芥川賞も受賞など、その文学性も高く評価されている。芸人という“異業種”から文壇へ。今後は小説家になるのか――。そう素直に質問をぶつけると、「僕にとっては、笑いの舞台も小説も、“お笑い”という大きな枠の中での表現の一つ」という答えが返ってきた。

 小説で表現したかったのは、“日常の笑い”だと言う。お笑いの舞台では、普通ではあり得ない非日常な設定から笑いが生まれる。一方、小説では平凡な日常でリアルに感じる違和感やズレの面白さに注目する。「自分の求めるお笑いの表現に合っていると思います」

* この続きは…芥川賞ピース又吉が受賞前に日経ウーマン編集部に語っていたコトバとは?