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非正規雇用の独身女性「親が死んだら暮らしていけない」 調査で判明した彼女たちの不安

2015年12月11日

非正規シングル女性への調査担当者インタビュー(後編)

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 横浜市男女共同参画推進協会と大阪市男女共同参画のまち創生協会、福岡女子大学の野依智子教授らが、今年10月、非正規職で働くシングル女性の社会的支援に向けて、35歳から54歳の非正規シングル女性を対象にWEBのアンケート調査を実施、261名から有効回答を得た。調査を担当する植野ルナさんへのインタビュー後編では、調査から見えてきた非正規雇用の女性の実態について聞く。

【前編】非正規の独身女性は「半数が貧困状態」 行政が見落とす、支援すべき存在

会社でもプライベートでも孤立感や疎外感を覚える

――具体的にどのような調査を実施されたのでしょうか?

植野ルナさん(以下、植野):まず、今年の1月から2月に、神奈川県にお住まいの、シングルマザーをのぞく35歳から44歳の非正規シングル女性7名にヒアリング調査をしました。「非正規」に含まれる範囲ですが、正規雇用ではないアルバイトや派遣社員のほか、フリーランスの方なども含めました。調査内容は、これまでの仕事や暮らし向き、将来どうしていきたいかなどについて。長い人だと3時間ほど話を聞きました。

――ヒアリング調査ではどのようなことが見えてきましたか?

植野:自分の希望で非正規職についている人はほぼいなくて、皆さん正社員になりたい、安定した仕事をしたいと思っていらっしゃいました。また、会社でもプライベートでも孤立感や疎外感を覚えるという方も多かったです。年齢が高くなるほど結婚や出産をする友達が増えていくなかで、非正規シングルということで時間も話も合わなくなり疎遠になってしまう。では職場で友達ができるかというと、細切れの雇用期間のなかで、長く続く人間関係は見込めないということも言えます。

 また、メディアで取り上げられる30代から40代の女性像は、子育て中の女性か共働きカップル、シングルのまま男性並みに働き続けるキャリア女性が多く、非正規職で働いているシングル女性の姿は見えてきません。

 たとえば、雑誌ひとつとっても、働く女性向けの雑誌は「正社員でバリバリ働く人向けなのかな…」と思って敬遠してしまう。かといって主婦向けの雑誌でもないしと、社会のなかで自分たちのような存在はないものとされているという疎外感があるようでした。

不安定な雇用で“介護と仕事の両立”に不安

――今回のWEB調査では、非正規シングル女性261名から有効回答を得たとのことですが、どのような傾向がありましたか?

植野:35歳から54歳まで年齢を広げて行ったWEB調査では、不安に感じていることとして一番高かったのは「仕事」、その次に「老後の生活」「健康」「家族の世話・介護」と続きました。自由記述を読むと老後の生活や親の介護を不安に思う人が多かったですね。いつ契約を切られるか分からない不安があるなか、経済的にはいまでもギリギリなのに親の介護ができるのだろうか、介護と仕事の両立ができるのだろうか、という不安です。自分の収入と親の年金を組み合わせて生活している女性も多くいらっしゃいました。「貯蓄もあまりないし、収入も安定しないのでどうしていいのか分からない」「親が死んでしまったらどうやって暮らしていけばいいのか分からない」「もう死んでしまいたい」という、胸が締め付けられるような言葉も見受けられ、かなり深刻な状況だと感じました。また、40代後半から50代の方になると正規雇用の可能性がないと感じている方も多かったです。

――回答者の年収はどれくらいなのでしょうか?

植野:250万未満が約7割で、150万未満の方も3割いらっしゃいました。労働時間も週30時間以上働いている人が7割強で、正社員と同じ仕事をしているのに給料は半分だという人もいらっしゃいました。また、「健康を不安に感じている」、「収入が低いから貯金ができない」という記述は何度も出てきました。非正規で年金も納めている額も低い、退職金もない、ボーナスもない、派遣だと交通費も出ない。キャリアアップのために何か資格を取ろうにも、非常にお金がかかります。そうなると、いまの状態からどうやったら脱することができるのか見えにくいですよね。日本だと新卒で入って何年キャリアを積んだかが給料に反映される企業もまだまだ多いですし、例え資格が取れたとしても実務経験が優先されるなかで一度非正規になると抜け出せないのが現状だと感じています。

非正規雇用女性の実態を“見える化”することが大事

――今回の調査をどのように活かされたいとお考えですか?

植野:まずは、非正規職シングル女性が置かれている状況や実態を“見える化”することが大事だと思っています。そのうえで、たとえば、住まいの問題であれば、ファミリー世帯でも高齢者でもないシングル世帯も公営住宅に入りやすくするなど、何らかの政策提言につながればいいと考えています。とはいえ、まずは我々の協会でどんな支援ができるのか、ほかの支援機関と協力しながら検討していきたいと思っています。

 非正規雇用には、自由に勤務時間を選べるというメリットもある。そのため、あえて非正規雇用を選ぶ人もいるかもしれない。しかし有期雇用であること、そして給与の不安定さによって心理的に追い詰められる人も少なくないはずだ。とくに経済的にも頼りにできる“夫”というパートナーがいない非正規のシングル女性が、不安を抱えながら働いていることは想像に難くない。今回の調査を通して見えてくる彼女たちの実態を、我々一人ひとりが真摯に受け止めることが、「すべての女性が輝く社会」の実現に欠かせないのではないだろうか。

(※「ウートピ」2015年12月4日付の記事を転載)

ウートピ
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文/末吉陽子

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