マイナンバー制度で銀行口座の旧姓使用が禁止される?!

 また夫婦別姓をめぐっては、マイナンバー制度スタートの余波も考えられます。2018年からは銀行口座にもマイナンバーが適用可能となることで、現在は旧姓での使用を続けていた銀行口座まで、名義変更を余儀なくされる可能性があるのです(現在でも戸籍の姓に変更を求められますが黙認されてきました。もちろん旧姓使用の口座もきちんと税務署への申告が必要です)。旧姓で仕事をしている人にとっては、口座の名前が変わることは面倒です。

  現在ではパスポートの旧姓併記は2006年3月の旅券法改正で認められるようになるなど、旧姓で働く人にとって進歩もありますが、このよういまだまだ問題も多いのです。

 ところで夫婦別姓を希望する人は、“リベラル”で“フェミニスト”で“左翼”な人たちだけだと思ってはいませんか。それも実は誤りです。家名やお墓を守りたいという、保守的な層の女性たちも本当に困っているのです。

 そして女性側にどうしても姓を変えることができない事情があるために、男性側が姓を変えざるを得ない場合もあります。彼らは姓を変えただけでも婿養子と言われてしまいますが、婿養子というのは男性が結婚するときに、女性側の親と養子縁組をした場合のことです。男性が姓を変える=婿養子ではないのです。

 法が改正されても、夫婦別姓を選ぶのは1~2割だろうとも言われています。すべての人に別姓を強制するのではなく、ただ選択肢を増やすことを求めているだけのことなのです。

 明日は「女性の再婚禁止期間」について考えていきましょう。

取材・執筆協力/吉田明乎、イメージ写真/PIXTA