民法の「夫婦同姓制度」と「再婚禁止期間を定めた規定」が「憲法違反かどうか」を争う訴訟について、最高裁大法廷は16日、女性の再婚禁止期間規定は「違憲」、夫婦同姓は「合憲」という判決を下しました。女性のあり方を左右してきた民法の規定について、コラムニスト・深澤真紀さんに聞いた記事(2015年11月30日掲載)を改めてお届けいたします。

●この人にお話を聞きました
コラムニスト・淑徳大学客員教授
深澤真紀さん


深澤真紀
ふかさわ・まき/1967年、東京生まれ。早稲田大学第二文学部社会専修卒業。
卒業後、いくつかの出版社で編集者をつとめ、1998年、企画会社タクト・プランニングを設立、代表取締役に。
日経ビジネスオンラインで2006年に「草食男子」や「肉食女子」を命名、「草食男子」は2009年流行語大賞トップテンを受賞し、国内外で話題になる。
『女はオキテでできている―平成女図鑑』(春秋社)、『輝かないがんばらない話を聞かないー働くオンナの処世術』、津村記久子との対談集『ダメをみがく――”女子”の呪いを解く方法』(紀伊國屋書店)、『日本の女は、100年たっても面白い。』(ベストセラーズ)など著書も多数。
公式サイト:http://www.tact-planning.com

最高裁大法廷で審理される意義とは?

 まず皆さんは、最高裁大法廷がどんな裁判所なのか知っていますか。法律が憲法に違反しているかどうかといった重要な問題を審理する、日本で最も権威のある法廷です。この場で夫婦同姓制度と再婚禁止期間を定めた規定の違憲性について審理が行われるのは、今回が初めてのことなのです!

 民法750条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する」と規定しています。つまり、どちらかの姓を名乗ることを定めているのです。「夫の姓を選択すべし」とは決められていませんが、実際は9割以上の女性が夫の姓に変更しています。夫婦別姓を認めない規定が「法の下の平等」を定めた憲法に反しているとして、富山市や東京都の男女5人が国に損害賠償を求めて提訴していました。

 一方の民法733条は「女性は離婚や結婚取り消しから6カ月を経た後でなければ再婚できない」という規定に対し、岡山県の女性がやはり「違憲」として提訴しています。

 いずれの訴訟も、一審、二審ともに請求が棄却されて、原告側が上告しているという状況です。

 この2件の規定は明治時代、1898年施行の旧民法により設けられました。驚くべきことに117年も前に制定された法律なんですね。今回は「夫婦同姓」の問題点について考えていきましょう。