ここ最近でネット上で話題を呼んだ牛を擬人化したCM動画。さまざまに受け取れるこの動画、観賞すると、何とも言えない後味の悪さが残ります。この動画になぜ人々からの批判が殺到したのか、一歩引いて、改めて、健康社会学者の河合薫さんに考察していただきました。
牛を擬人化したCMが、ネット上で物議を醸している。タイトルは『“挽きたてカフェオレ「旅立ち」篇”』。2014年11月にWEB限定で公開された、AGFの“ブレンディ”のCMである。
一年も前のCMが騒ぎになったのは、先月シンガポールで開催された広告コンテストで銅賞を獲得したこと。動画が海外で瞬く間に炎上し、日本に逆輸入されたのだ。
で、その内容とは……(実際の映像を見たい方は「ブレンディ CM」でググってください。日々削除され続けていますが、見つかると思います!)
文字だけでどこまでニュアンスが伝わったか自信がないのだが、ネットでは、
「気持ち悪い」
「生徒に番号つけて呼ぶって、何コレ?」
「牛を擬人化って悪趣味」
「鼻輪がイヤ」
「男女差別だ〜」
「外見で差別するな!」
「セクハラ」
「校長の一言がグロい」
などなど批判殺到。
中には、「作品としてはおもしろい」といった好意的な意見もあったが、大半は批判的内容で占められた。
大抵、この手の炎上騒ぎには問題になるシーンや言葉があるものだが、このCMには「ここ!」と言い切れるところがない。至る所に「なんでやねん?」が散りばめられていて、いろいろな人たちが、それぞれの立場で、さまざまな価値観で、CMに「ノー!」を突きつけたのである。
かくいう私は……、まっ先に浮かんだのが、福島県の川内村の村民たちの言葉だった。