すでに少し上の世代は、「年の差婚」、「グローバル婚」、「逆転婚」、「週末婚」、「別居婚」などいろいろな形の結婚へと踏み出しています。最近話題になった俳優の山本耕史さんと堀北真希さんは交際ゼロ日婚ですよね。また、多様化する結婚のなかでも「同棲婚」は、一緒に暮らしてみて相手のことを知ることができるし、経済的にも負担を分け合えるし、寂しくないし。

 90年代半ば頃から離婚件数が著しく増加して、親世代の離婚を見てきた彼らは、失敗したくないという気持がとても顕著です。経済格差が開く中で、不用意なセックスによって若くして子供ができてしまう、離婚してシングルマザーになり経済的に苦しい生活を余儀なくされるなど、「そういう苦労はしたくない」と切実に願い、せめて今の暮らしを守りたいと、恋愛やセックスを避けようとしてしまう。そういう点からも、お試し感覚で同棲して、良ければ結婚するという流れは、コスパを気にする今の若者に合っているといえるでしょう。

――いろいろな結婚の形を叶えるために著書では、海外の制度も事例に取り上げていますね。

牛窪:はい。スウェーデンの「サムボ法」や、フランスの「PACS(パックス)」のように、一定期間同棲しているカップルにも夫婦と同等の権利を認める制度ですね。

 「失敗してもいいんだよ。飛び立ってごらん」というからには、私たち上の世代も、若者の多様な価値観を認め、やり直しができるセーフティネットのある社会にしていかなければならないですよね。


『恋愛しない若者たち コンビニ化する性とコスパ化する結婚』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

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