――恋愛をコストパフォーマンスで考えているというのが驚きです。

牛窪:バブル崩壊後、企業では成果主義が推進されました。今の20代の若者はまさにこのプロセスよりも結果を重視する時代に生きてきたというのが大きいでしょうね。だから決められたことを要領よくこなすのは得意だけど、結果がどうなるか分からないことには手を出したくない。生まれ育った環境が異なる他人と関係を作り上げていく恋愛はその最たるもの。不確実な要素が多くて労力が掛かるのに、得る物が少ないことはしたくないのです。リベンジポルノやストーカー被害などの報道も恐怖心をあおり、恋愛におけるリスクを回避したいという心理につながっているのでしょう。

 じゃあ、結婚もしたくないのかというと、このように恋愛低体温の彼らですが、いまも9割近くは「いずれ結婚するつもり」(10年/国立社会保障・人口問題研究所)と考えています。ただ、結婚のきっかけとしてイメージしているのは、お見合いではなく恋愛結婚。実は、ものすごく矛盾していますよね。

 恋愛と結婚は別物と割り切っている子は、早く結婚して子供も授かるケースが多いのですが、恋愛意欲は低いのに、恋愛結婚に憧れている若者をこのまま放置していては、未婚・少子化はますます加速してしまう・・・。そんな危機感も、今回の書籍を執筆した動機にあります。




取材・文/橋本伊津美 撮影/小野さやか

『恋愛しない若者たち コンビニ化する性とコスパ化する結婚』
(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

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