2016年の健康食品業界は、多くの検討会が一気に、かつ同時進行することになる。

 まずは消費者庁の「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」が1月22日にスタートした。これは平成27年3月24日に閣議決定された「消費者基本計画」において、「施行後速やかに検討に着手する」とされたもので、今秋までをめどに10回の検討会が開かれ、秋に報告書がまとめられる予定。(内容は別記事参照)

 1月29日には「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」がスタートした。これは平成27年3月31日に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」において「実行可能性を確保しつつ拡大に向けて検討する」とされた案件で、さらに平成27年11月25日にTPP総合対策本部が決定した「総合的なTPP関連政策大綱」の中の「原料原産地表示について、実行可能性を確保しつつ、拡大に向けた検討を行う」とされたものをも同時に受けた形となり、消費者庁と農林水産省の共催となる。

 2月9日にスタートする「特別用途食品制度に関する検討会」は平成27年6月30日に閣議決定された「規制改革実施計画」において、「特別用途食品制度の改善に係る検討等を行う」とされたものを受けたもの。昨年12月25日に開催された「新しい介護食品(スマイルケア食)普及促進会議」と「スマイルケア食の選び方ワーキンググループ」との合同会議で、農林水産省側と業界団体側とで「噛むことが困難な人向けの食品」はJAS規格で、「飲み込むことが困難な人向けの食品」は特別用途食品で対応する方向となっており、今年は介護食品の規格が一気に固まる可能性が出てきた。

 一方、本年10月から「消費者裁判手続特例法」が施行されるが、平成27年10月からはこれに向けた「消費者団体訴訟制度の実効的な運用に資する支援の在り方に関する検討会」がスタートしている。適格消費者団体の資金確保などが話し合われており、通信販売などの無店舗販売の多い健康食品業界では検討会の成り行きに注意が必要だ。

 平成27年8月からスタートしている、消費者委員会の「特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会」は2月4日で第6回を数える。表示や広告、制度及び運用の見直し、さらには情報開示の問題などについても話し合われている。機能性表示食品制度との整合性はもちろん、特許庁が今年の4月から食品の機能性にも特許を認める方向で審査基準を改定する見込みのため、議論内容にも注目したいところだ。

 平成27年12月に始まった消費者庁の「食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会」は1月26日に第2回が行われ、消費者に必要な情報の内容及びその提供方法、事業者にとって実行可能性のある情報提供の方策について話し合われている。

 記者泣かせの1年となりそうだ。

寄稿:フリージャーナリスト/継田治生