お金の不安を抱え込み、仕事もプライベートも毎日頑張っている女性たちに、もっと明るく楽にお金のことを捉えられるようになってほしい――。自らの夢もかなえたコツを盛り込んだ「Myお金計画ノート」(9月7日発売の日経WOMAN10月号綴じ込み付録)を監修した、ファイナンシャルプランナーで「美人投資」主宰の久富有里加さん。「Myお金計画ノート」に込めた想いを聞きました。

ファイナンシャルプランナー/「美人投資」主宰
久富 有里加(ひさとみ・ゆりか)さん

1986年東京都生まれ。 大和証券、楽天証券を経て、正しい投資を 伝えたいと2016年「美人投資」を立ち上げる。お金を必要以上に怖がらず、若者がチャレンジできる世の中にすることが目標。 著書に『「お金」は美人になれる美容液』(WAVE出版)がある。

20代「謎の焦り」から脱出できたきっかけ

 私は会社員時代、証券会社で約10年働きました。でも20代の頃は、決してお金の使い方が上手だったとはいえませんでした。「どこかへ行ったら」「何かを身に付けたら」「何かができたら」自分の生活が変わるのではと思い込み、漠然と多額のお金を散財した時期があります。

 目的や目標が定まっていないのにもかかわらず「何者かにならなければならない」という、謎の焦りのようなものがあってお金だけを散財してしまう状態。女性ってさまざまなタイミングで、この「謎の焦り」ってあると思うんです。私の場合そこから抜け出せたのは、証券会社の仕事で富裕層のお客様と接して、彼らの考え方を知ることができたからだと考えています。

 それは「幸せなお金持ち」の方々の人生にあった「2つのゴール」を見つけられたこと。まず、1つめはお金では達成できない「ライフゴール」。これは、例えば「結婚して子供が2人欲しい」「英語が話せるようになりたい」など、お金では達成できないことです。

 そして2つめは、お金で達成できる「ファイナンシャルゴール」。「プラダのバッグが欲しい」「ハワイ旅行に行きたい」など、お金で達成できるさまざまな願望です。

 この2つのゴールを持ち、明確に分けて自覚し、それに向けて合理的にお金を使う。「目的のないお金の使い方はするべきではない」と気づくことができました。そして、お金のことを考えるときに最初にやるべきなのは「お金の情報のインプットではなく、自分についての情報のアウトプットなんだ」と。

化粧品カウンターで「全部お任せします」とは言わない

 私たちは普段、目的を持ってモノやサービスを選びますよね。例えばデパートの化粧品カウンターに行って、いきなり「お任せします」とは言いません。何か目的があるはずです。「もっと色っぽくなりたい」と言えば、それに合わせて、ぽわんとする血色感が出るチーク、というように目的を目指した具体的な商品を勧めてもらえますよね。普段の買い物でも目的がないとやみくもにただ浪費してしまう可能性が高い。

 お金のことについても本来は同じで、「なりたい顔」を目指すように、目的をアウトプット(設定)してから、お金を貯めていく方法を選ぶのが自然だと思うのです。

 それにもかかわらず、アウトプットを一切しないまま、投資の知識のインプットだけをして投資を始め、長年続けている人も大勢います。すると、どうなってしまうのでしょうか。必要以上のリスクを取り、投資が「ギャンブル」になってしまう危険があるのです。

 海外ではアドバイザーが「あなたはどういうときに幸せを感じますか」「何のためにお金を貯めるのですか」「何が一番大切ですか」と、顧客と価値観の共有をしたうえで投資についての助言を行います。日本の金融機関もそうした方向に変わらなければなりませんし、まさに今、変わっているところであるともいえます。