グローバル株部門【大賞】「セゾン資産形成の達人ファンド」

――「セゾン資産形成の達人ファンド」(以下「達人ファンド」)はどんな投信ですか?

 先進国を中心に新興国も含めた世界の企業に投資する、株式100%の投信です。重視しているのは、安定した売り上げと利益成長力のある企業の株式に投資すること。その会社の事業が成功すれば、企業の価値が高まると共に世の中に付加価値が提供され、その結果として投資家の資産も増える。企業の成長に伴って自分の資産も育てていくという、投資本来のコンセプトを大切にしています。

 実際には「達人ファンド」が直接株式に投資せず、セゾン投信と同じ理念で企業を厳選し投資する各国の優秀な運用者を選定して、そのファンドに投資する「ファンド・オブ・ファンズ」方式で運用しています。現在は9本のファンドを組み入れ、それぞれのファンドを介して、世界30カ国、約500銘柄の株式に分散投資しています。

セゾン投信 代表取締役社長 中野晴啓さん
セゾン投信 代表取締役社長 中野晴啓さん

――「達人ファンド」は、銘柄を選んで投資し、市場平均を上回るリターンを狙うアクティブ型の投信です。アクティブ型はインデックス型よりコストが高く、市場平均に勝ち続けるのは難しいとも言われます。

 確かにアクティブ型は銘柄選択や市場環境分析などの手間に応じて、相対的に信託報酬などのコストが高めになります。また、運用者の方針や投資判断次第で成績の差がつきやすくなります。しかし、企業の価値をきちんと分析し、よい銘柄を選んで投資すれば、長期的にもインデックス型を上回るリターンを継続できるはずであると考えています。

 アクティブ運用で株式投資するならば、本当に価値のある事業を選んで応援したいと考えます。今後多くの人に必要とされるビジネスに、必要な資金を提供することにより、世界の経済の発展に貢献できる。そしてリスクを取って積極的に投資したお礼として、相応のリターンを得られる。これが投資の本質です。

 だからこそ、投資する対象を厳選して、世界の各地域で優れた運用実績を上げているファンド適切に組み入れることに力を注いでいます。その結果、投資家の皆さんの期待にこたえる運用ができていると自負しています。

11年前に同社を設立した中野社長を囲んで
11年前に同社を設立した中野社長を囲んで

――運用するうえで心がけていることはありますか?

 短期的な値動きを追わないことです。株価は様々な要因で変動し、本来の企業価値と離れて大きく値下がりすることもあります。短期的な成績にこだわると少なからぬ運用者が目先のパフォーマンスを上げるためだけに相場を追いかける運用をしがちです。でもそこで理念に忠実に、決してじたばたしないこと。価値あるモノはやがて本来の価値に見合った株価に戻ってきます。相場に振り回されず、長期で見ることが大切です。

 最近の世界の政治状況を見ると、今年もマーケットは荒れることが予想されます。でも、実体経済では世界全体で見れば、これからも人口が増え、人々の暮らしを支えるための企業活動が活発に行われ、地球の経済は成長していきます。コツコツ積み立て投資を続けていけば、皆さんの資産はきっと増えていくでしょう。

――セゾン投信はこれまで個人投資家に直接、投信を販売する直販スタイルでしたが、最近、販路が広がったそうですね。

 はい。今年1月からゆうちょダイレクトでも購入いただけるようになりました。iDeCoは昨年10月から楽天証券で取り扱っています。もちろんこれまで同様、直販で買ってくださる方が主役ですが、日本中どこに住んでいても、手軽に「達人ファンド」を積み立てられる環境が整いました。ぜひ資産づくりに役立ててください。

日経WOMAN 3月号に掲載の特集、「日経WOMAN投信大賞2017 働き女子に『ピッタリ投信』はこの2本!」では、各商品についてより詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。

取材・文/井坂真紀子 写真/竹井俊晴(審査員、三菱UFJ国際投信)、小野さやか(セゾン投信)